木初高校男子バレー部!9
□セイシュン
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「李静兄ちゃん!おはよ!」
『李駿!来たか!』
李駿は俺の弟弟子。
兄に憧れていたのか、すぐに俺に懐いてくれた。
本物の弟のようなヤツだ。
「今日はどんな稽古するんだろうな?!」
『どうだろうな、師匠は気まぐれだから……』
「俺、なんでも楽しいよ!!」
言葉通り、李駿は雑用ですら楽しそうにする。
たいしたヤツだと感心すると同時に、少し恐怖も感じる。
あっという間に俺を追い抜いてしまうんじゃないかって。
『……そうだな。何がきても李駿には負けない』
「え?!そりゃそうだろ!李静兄ちゃんになんてまだまだ勝てないよ!」
……こう言っているようなら、まだまだ大丈夫か。
『そんなこと言ってる間に、もっと差をつけてやるからな』
「あ!待ってよ李静兄ちゃん!!」
山道を走り出す。
予感がするんだ。
俺はいつか李駿と対峙するだろう。
その時に、俺は兄弟子としてーーーーー
『って感じで、いつも李駿と張り合ってたな!』
結局、俺は李駿に負けてばかり。
再会した後の勝負も、ランファンのことも。
でも、理由はわかってるんだ。
李駿は、俺よりも先に護りたいヒトを見つけた。
ただ、それだけ。
「ショタの李静さんと李駿くん……イイ!!兄×弟からの再会したら弟×兄になってたなんて……あぁ、尊い」
『クスッ お嬢はいつも楽しそうだな』
「Σちょ、妄想したの謝りますから!!その呼び方やめてくださいよ!!ι 」
俺にも護りたいヒトが出来た。
今なら、きっといい勝負が出来るんじゃないか?
『千絵』
「!……〜っあー!////まだ照れるっ恥ずかしいっ////」
『慣れるまで呼ぼうか?千絵』
「も、いいです!!心臓持ちませんから!!」
『……千絵』
「!だ、だからっ」
『我爱你』
でもきっと俺も李駿も、もう本気で闘うことはないだろうな。
だが、共に切磋琢磨してきたことは無駄ではないはずだ。
あなたを護る力を手に入れたのだから。
セイシュン
1番成長出来る時。
俺にとっては、日本に来てからだな。きっと。
(……)
(千絵?)
(は、反則、ですよっ////)
(ニコッ 慣れろ)
李《セイ》と李《シュン》でセイシュンの話!……にしたかった。