木初高校男子バレー部!9

□ピンチでも
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「それ、こっち持ってきて!!」


「どうしよう……もう少しわかりやすく直そうか?」




撮影現場がいつもより慌ただしい。


理由は、今朝あった藤亜からの電話でわかってるーーーーー




『は?風邪引いた?』


「そうみたい。最近海外のコンクールとかの準備で睡眠時間少なかったし」


『それでもプロかよ』


「そう言ってやるなってι とにかく、代わりのヘアメイクに行ってもらうから、現場のフォローしてやってくれ」


『……俺のこと買いかぶりすぎ』


「マッスーなら出来るって!よろしくな!」ーーーーー




まあ、姫さんが風邪引いたっつーだけなんだけど。


それでこんだけバタバタするってことは、それくらい姫さんの存在は大きいってこと。


あの人、カンだけは冴えるから、魅せたいものを忠実に再現させる。


……大丈夫か?今日の撮影。




「代わりの人って誰なんだろ……」


「急に入れるって、有名どころじゃ無理だろうしね……」




不安でザワザワし始める。


いつもは自信もってやってるヤツらも、どこか落ち着きがない。




こんな空気で成功するわけないだろ。




『あの、大丈夫なんで』


「え……?」


『どんなに下手なヘアメイクが来ても、俺が最高のものに変えるんで。いつも通りやりましょう』




一気に空気が引き締まる。


これでいい。




「そうだよね!俺達だって!!」


「姫川くんだけがちゃんと準備してきたわけじゃないんだし!」


「いつも通りやればいけるいける!!」




みんなに活気が戻る。


なんとかいい感じに仕事が出来そうだ。




「誰が下手だって?」


「「「!!」」」


『!は……?』


「姫川愛斗の代わりで来ました




姫川セリアです。よろしく」ーーーーー




「いやぁ、彼すごかったね」


「ホント!急に頼まれたとは思えないよ」




結果、撮影は大成功。


姫さんとは違う視点ではあるけど、商品を十分に魅せるモノを作り上げた。




「アメリカでの仕事がひと段落したから、一旦戻ってきたんだ。丁度日本に着いて愛斗に連絡したら困ってるみたいだったから」


『へぇ』


「で、さっきの続き。誰が下手くそだって?聞きたいなぁ」


『知らねぇよ。お前と仕事したことねぇし』




勝ち誇ったようなコイツの表情、姫さんに似ててムカつく。


ただ、腕は認める。






ピンチでも




それを対処出来る冷静さも、仕事の質も、間違いなくプロだ。




(それじゃ、そろそろ行こうかな。ライヤも来る?お見舞い)
(は?行かねぇよ。わざわざ風邪貰いにとか)
(クスッ そんなんで伝染るの?プロなのに?)
(あー。うぜぇ)




なんとなく書いてみたかったコンビ。
セリアは世界中飛び回ってそう。
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