木初高校男子バレー部!9
□我慢するのも楽じゃない
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雛と同棲(同居?)し初めてから、今日で丁度4年。
俺は高校卒業してすぐホストになって、夜の商売だから雛の存在はすごく助かってる。
「トリおかえり!これから寝るでしょ?ご飯作ったから、起きたら温めて食べてね!それじゃあ仕事行ってきます!」
『ん……いってらっしゃい……』
自分も仕事があるのに家事は全部やってくれてるし、飯もかなり栄養に気を使ってくれてる。
ずっと休まず働けてるのは雛のおかげだろう。
なのに、俺は雛に何も返せていない。
『……ったく、情けねぇな』
ベッドにダイブする。
俺の意地でやってるホスト。
最近は安定してナンバーを取れるし、金は貯まってる。
雛を養っていくくらいはきっと出来ると思う。
だけど、付き合おうとすら言えてない現状だ。
このままなぁなぁな関係を続けてていいのか、
甘えるだけの、この関係をーーーーー
「ただいまー!……あれ、トリ?……もしかしてまだ寝てる?」
『……んー、雛……?んーん……っやべぇ!ι 今何時?!ι 』
考え事しながら寝たせいか、全然疲れが取れた気しない。
しかも、雛が帰ってきてるってことはそろそろ出勤しないと間に合わない。
雛が作ってくれた飯、食えねぇじゃん。
「トリ!寝坊なんて珍しい……相当疲れてるんだね」
『いや……』
心配そうな顔を向ける雛。
そんな顔してもらえる資格なんて、ねぇんだけど。
「……トリ?」
『温めて。食ってくから』
「え、でも、お仕事遅刻しちゃうよ?」
『いいよ少しくらい。店で倒れるよりマシ』
「!そうだねっ、すぐ温めるから待ってて!」
急いで台所に立つ雛。
……この姿を見るのも久々な気がする。
『……雛』
「なぁに、トリ?」
『結婚とかって考えてんの?』
「んー……今は考えてないよ!」
『!ふぅん……』
「あのね」
料理を置いて、向かい側に座った雛が妖艶に微笑んだ。
普段見せる天真爛漫な笑顔とは違って、見慣れない表情に戸惑う。
「私が結婚するのは、トリがホストを辞める時。気持ちの整理がついて、私を1番に選んでくれるのを待ってる」
雛は強い女性だ。
それは雛の中で譲れないものがしっかりあるから。
ホント、俺はイイ女に好かれたと思う。
『待たせてる責任は取るつもり』
「もちろん!じゃないと背負い投げしちゃうから!」
『それだけじゃ済まなさそうだな』
「あはは(笑)ほーら、ご飯また冷めちゃうよ?早く食べよ!」
雛のおかげでまた、1つ前に進めそうだ。
我慢するのも楽じゃない
幼い頃からずっと一緒にいて
そんな苦労をずっとかけている
絶対俺が幸せにしないとな。
(ご馳走様。美味かった)
(良かったぁ!いっぱい練習してるんだ♪ )
(いい嫁になるな)
(!何今日のトリ!へーん!(笑))
なかなか進展しない幼馴染カップルの例その1