木初高校男子バレー部!9

□帰る場所
1ページ/1ページ








シンが留学で家を空けてから、半年が過ぎた。


大学は研修期間が終わって卒業論文を書くだけ。


当然家にいる時間が増えるわけで。




『寂しい、な……』


「なんだよ、折角遊びに来てやってんのに(笑)」


「そーだよー、光ひどーい」


『!そうなんだけど、やっぱり弟がいないと、ね』




今でもつい、帰りに甘いものを見たり買ったりしてしまう。


もう家で待ってる人はいないのに。




「でも分かるなー。俺も兄弟と離れてるしー」


「ああ、あの双子の?」


「そーそー。あと1番上の兄と、妹もー」


『……兄弟から、いつか離れるのって必然だよね』




結局、シンは最後まで俺を兄ちゃんとは呼ばなかった。


俺が描いた兄弟の形には戻れないまま、俺はもうすぐ社会人になる。




「俺は兄弟とかいないからわかんないけど、そんな寂しがることないって!」


『うん……』


「だってさ、他人の俺達ですらこうやって会ってんだぜ?兄弟とかそれこそ特別なもんでしょ」


「そーだよー。みんなが帰ってくる場所にいるんだからー」


『!そう……だよね』




嫌われてたとしても、離れていったとしても、俺とシンは唯一の兄弟。


どれだけ時間が経ってもそれは変わらない。




「つーか、案外明智弟の方が寂しくて帰ってくんじゃない?」


『え、どうだろ……』


「あー、弟くん素直じゃないからー(笑)」




「ねーよ!!帰ってきたのは長期休みだから!!光がいるからじゃねー!!」


「「『ビクッ』」」




声の方を見ると、大きな荷物を持ってるシン。




「……びっくりしたー」


「な。本物かと思った」


『え……え?』


「本物だし、空港着いた時点で帰るっつー連絡してるし。反応ねぇから腹立った」


「「え、ツンデレ?」」


「違ぇし!!おい光、俺長旅で疲れてんだけどコイツら追い出して」


「ちょっと、俺高校の先輩なんだけどー」


「被ってねぇし、先輩以上に光の友達だし」




携帯を見ると、メールが3件、着信も2件来てた。


前もって言ってくれれば良かったのに。




「聞いてんのか光!!!」


『……うん、そうだね。ミルクティとケーキ用意しなきゃ』


「いや聞いてねぇのかよ!!……もらうけど!!」




やっぱり兄ちゃんとは呼んでくれないシンに少しホッとする。




『さ、ケーキ買いに行かないとな』




また暫く、昔みたいな日々が続きそう。




「クスッ 光嬉しそう」


「ねー」


『シン、いってきます』




2人が言った通り、ちゃんとシンの







帰る場所


になってるって考えたら、


寂しさよりも嬉しさの方が大きいって思うんだ。




(って、この2人連れてけよ!!)
(えー俺弟くんと話たーい)
(俺も俺も!)
(疲れてるっつってんじゃん!!)

(今日はホールケーキにしようかな)




ブラコン&シスコンが多い中でも、
光はシンにだだ甘です(笑)
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ