木初高校男子バレー部!2

□不良
1ページ/1ページ






「誰よりも喧嘩が強くて、女をとっかえひっかえ……」




ある人の話をしてるとき、友達が言った言葉。


その言葉を聞いたとき、私は別の人のことを思い出していた。




それは、私のお兄ちゃん。


千鶴くんじゃなくて、和彦くんの方。


昔から何事にも冷めていた和彦くんは、女の子達から"大人っぽい"とか"クール"とか言われて、人気があった。


当然、言い寄ってくる人も少なくない。


断るのも面倒だったのか、和彦くんはいろんな女の子と遊んでた。


つまり、女をとっかえひっかえしていた。




それを面白くないと思っている人は大勢いたみたいで……




『っ!和彦くん!その怪我どうしたの?!』


「え?うーん、どうしたんでしょうね?」


『っ……早く手当てっ』


「ほっといていいですよー」




よく、怪我をして帰ってきた。




千鶴くんに聞いたら




「カズは強いから大丈夫だよー」




って。




和彦くんは、みんなが言う"最低な不良"のイメージに当てはまる。


だから、みんながあの人の話をしてるとき、どうしても悲しくなる。


違うんだよって、言いたくなる。


和彦くんも、あの人も


誤解されやすいだけなんだよって。




和彦くんの場合、ずっと千鶴くんが側にいた。


だから、誤解はそれほど広がらなかった。


でも、あの人は?


私があの人に会うときは、いつも一人でいるような気がする。


誰か、側にいてくれる人はいないのかな?




こんなに気になるのは、あの人が昔の和彦くんと同じ境遇にいるから?それとも……






不良




みんながそう思ってても、私にとっては違う。


だから、もしあの人が一人なら私が側にいてあげたい。




(なんて、勝手だよね)
(実際は少し強く言われただけで立てなくなるくらい震えてる)
(……なんて臆病なんだろう)






……はい。頑張ります。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ