木初高校男子バレー部!2

□尊敬してます
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なんの取り柄もない俺が、"青鳥高校バレー部"で生きていくには




「オラ!声小さくなってきてるぞ!もっと出せぇええ!!」


「「「おおお!!!」」」


『はぁっはぁっ おおお!!』




誰よりも努力すること


強い心を保つこと


そして




「おらぁ!! ドッ!!」


『ダダッ トンッ』


「うおお?!ナイスレシーブ」


「勇人、いいね」


『!はいっ!』




何がなんでも諦めないこと






――――――――――




入学当初、俺はバレー部に……と言うより、部活に入る気はなかった。


一般受験でここを受けた俺は偶然受かったってだけで、この学校は自分の学力の上のランク。


当然、勉強に集中しなきゃやっていけないって思ったから。


さらに、バレーはIH常連という強豪。


凡人である俺についていく自信はなかった。


だから、部活なんて入らないで勉強に集中しよう。




って、思ってたのにぃい!!




『……ι 』


「おらぁ!!お前ら死んでんのかぁ?!声出せや声ぇえ!!」


「「「はいっ!!!」」」


『(ひぇええι )』




放課後。


俺はどこにいるでしょう?


正解は、第4体育館(男子バレー部専用)。


なんでって?


やっぱり気になるから、ちょっとだけ見学してこー♪って思って体育館に入った瞬間、扉を閉められた。


後ろから入ってきた大きい先輩の迫力にびびってしまい、帰ることが出来なかったのだ。


コートに目をやる。


バレーの推薦入学があるため、きっと1年生も混ざって練習しているのだろう。


つまり、スタートから出遅れてるわけで。


俺みたいに見学の人もけっこういるけど、みんな背が高くて、なんか大きい。


あの人なんて、190近くあるんじゃないのかな?


小さいのは、俺だけかな……




「あの……」




そうだよね、強豪で生き残っていこうっていうのに、こんなチビあり得ないよね……




「おーい?」




ごめんなさい。俺みたいなのが見学に来てごめんなさい!




『ねぇ「ごめんなさい!!!」Σえぇ?!ι 』




ハッと気づいたときには遅かった。


体育館は静寂に包まれてて、俺の声が何重にも響いて聞こえる。


どうやら集合がかかってたらしい。


変な汗がドッと出てきた。




「……Σハッ ご、ごめんね?急に話かけてι 」


『ビクッ い、いえι こちらこそ……あっ!』


「ビクッ え、な、何?」




俺に親切に話かけてくれていたのは、俺の知っている人だった。


正確には、俺が一方的に知っている人。


強豪の嘉久和中で、1年生からずっとレギュラーで試合に出てた……




『明智光さんっ!!』


「え、あ、はいっ!ι ……え?ι 」




明智光さんは、見ただけで多くの人を虜にしちゃうようなすごく綺麗なプレーをする。


アタックを打たない俺でも、彼のトスは思わず打ってみたくなるから不思議だ。


そして何より




『あのあの!身長何pですか?!』


「え、ええι 163pくらいかな?ι 」




この人はそこまで大きいわけじゃない。


だけど、誰にも負けないくらい堂々とプレーしてる、だから




『俺と同じ"チビ"なのに……尊敬してます!!』


「……あ、ありがとう?ι あれ、ありがとうでいいの?これ」




思わぬ出会いで興奮した俺は、大事なことを忘れてた。




「おい!見学2人!いくら見学だからって集合くらいきちっとしろやぁぁああ!!」


「『ビクゥッ は、はいっ!!ι 』」




俺のせいで彼まで怒られてしまった……


彼は笑って「気にしないで、俺も悪いんだから」と言ってくれた。


いい人!!




見学が終わって帰ろうとしたら、また明智さんが話かけてくれた。


「勇人はバレー部入る?」


『う、うーんι ……あれ?なんで名前……』




俺はまだ名乗ってないハズ……




「知ってるよ。鈴木勇人、リベロでしょ?中学近いからよく練習試合してたじゃん」


『!!』




お、覚えててくれてた……




「それに、俺は君のプレーすごくいいと思う」


『えっ』


「君が諦めないでボールを追うから、チームの心の支えになる。君はそういうプレーヤーだったと思ったけど……」


『……』




俺のこと覚えててくれただけじゃなくて、俺のプレーも……


初めて、言われた。


「そういうの、チームには必要だな」


『あの……』


「ん、何?」


『明智さんは、入るんですか?』




明智さんは真っ直ぐ俺を見る。




『もちろん。入らなきゃここを選んだ意味がない。勇人は?』




あぁ、かっこいいなぁ。


俺も、こんなふうに……




『もう少し、考えます』




――――――――――




「勇人、さっきのボールよく取ったよなー!」


「なっ!俺絶対無理だと思ったのに!」


『え、えへへっ』




結局、俺は入部した。


明智くんにも説得されたし、何より俺はバレーが好きだ。




まだまだ試合になんて出れなくて、不安要素はいっぱいあるけど




「勇人、また頼むな」


『!うんっ、明智くんっ!』




絶対同じコートに立って、貴方の背中を守る。






尊敬してます




いつでも真っ直ぐな貴方を。




(?ありがとう)
(え?!声に出てました?!)
(思いっきり出てたぜ(笑)勇人ハズかしー(笑))
(あわわわι )
(ニコッ 俺は嬉しいよ)
(((キュンッ//// )))





気のせいかな?明智くんがどんどん神になってるような……(笑)

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