木初高校男子バレー部!3
□さよならのあと
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「……向日葵?」
『!……アヤメ?』
高校に入って初めて、元カノに会った。
久し振りに見た彼女は、髪を短く切っていて、少し大人っぽくなっていた。
「やっぱり向日葵だっ!元気そうだね!まだバレーやってる?」
『うん……アヤメも元気そうで良かった』
別れ方が別れ方だっただけに、気まずくなるんじゃないかと思ったけど、案外普通で安心した。
「あ!これから時間ある?久し振りに向日葵とお話したいな♪」
『うん、いいよ』
それから俺達は他愛のない話をした。
特にアヤメが食い付いたのは、砂川愛の話。
「騒がしい」とか「バカな奴」とか、そんなことでも楽しそうに聞くアヤメ。
怪我のことを話すと、まるで自分の友達のように心配してた。
「……でも、本当に良かった」
『え?』
「ちゃんと、向日葵のこと見ててくれる友達、出来たんだね♪」
『!うん……』
昔と変わらない笑顔。
アヤメはきっと、過去の傷を乗り越えたんだと思った。
「あっ!私そろそろ行かなきゃ!ι 」
『ピアノ?』
「うんっ!まだ続けてるの!」
『大好きだったもんね……今度、聞かせてくれる?』
「もっちろん!それじゃあまたね!」
そう言って笑顔で走ってくアヤメを見送る。
アヤメの姿が見えなくなってから、急に寂しさが襲ってきた。
そっか、もうアヤメの中にはいないんだ……
もうとっくに忘れたつもりでいたのに、それは完全じゃなかった。
きっと"今度"なんて来ないんだろうな
さよならのあと
前に進めていない自分に気がついたんだ。
(俺から言い出したことなのに)
(ちゃんとさよならを受け止めてくれたのに)
(……口ばっかりの自分に腹が立つ)
……はい、さーせん。
頑張ってみたけど……ダメだった
おまけ→