木初高校男子バレー部!3

□一番に
1ページ/1ページ







ぼくと双子の和彦くん。


見た目はソックリなんだけど、中身は全然違うんだ。


今日もぼくがみんなとドッジボールをしているとき、和彦くんは教室で本を読んでいた。




『和彦くーん!!』


「!」


『ニコッ 一緒にやらない?!』


「……」




首を横に振る和彦くん。


誘っても、いつも断られるんだよね。




『そっかー!!また今度やろーね?』


「……コクンッ」




和彦くんが頷くのを見て、ぼくは笑顔でみんなの輪に戻った。




ぼくからしたらそれが和彦くんの普通。


でも、周りの人は納得がいかないみたいだった。




「なあ、アイツ本当に千鶴の兄ちゃんかよ!」


『え?!うん、そうだよ!!』


「千鶴と違ってネクラだし、友達いなそうじゃん!」


『!ひ、人見知りなんだよ!!』


「そうは見えねーけど!しかも喋ってるとこ見たことねぇ!」


『!そ、それは……』


「あれ、絶対俺らを見下してんだって!」




そんなこと、ない……と、思う。




和彦くんが喋らなくなったのは小学校に上がったくらいから。


もともと口数は少なかったんだけど、何故か急に何も言わなくなってしまった。


お母さんも心配して、病院で診てもらったけど異常なし。


環境の変化によるストレスが原因って言われた。




でも、それから4年経っても和彦くんは喋らないまま。




ぼくは不安だった。


周りの人達が和彦くんを悪く言うのがすごく嫌で、今よりもっと傷付いちゃうんじゃないかって。




守りたいって思ってる。




でも双子なのに、和彦くんが考えてること、わからないんだ。




ぼくにできることは、和彦くんに敵ができないようにフォローするくらい。




幸い笑顔を振り撒くだけでみんな近寄ってきたし、ぼくの味方は多かった。




『……そんなこと言っちゃうの、嫌だな。周磨くんは悪口を言うような人じゃないでしょう?』


「っ!……わりっ!そうだよな!」




ぼくがニコッと笑うと、周磨くんは照れたように笑った。




よかった。




これでまた、和彦くんのことを守れた……かな。






一番に




大切な君だから、できることはなんでもしてあげたい。




(和彦くん、かーえろっ♪)
(!……コクンッ)
(今日ね、ドッジボールでぼく活躍したんだよ!)
(……ニコッ)

(絶対に、ぼくが守るんだ)




……うーん

もっと核心に迫るような話を書きたかった……

いつもどおり、わからなくなってしまった




のだよ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ