木初高校男子バレー部!3
□決めたのは
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『は……?』
「だーから!俺、パイロットになりたいんだ!」
瞳をキラキラさせて言う波野哲也は、俺と同じ高校3年生。
子供っぽいやつではあるけど、そんな幼稚園児みたいな夢が飛び出すとは思っていなかった。
『……お前さ』
「だってかっこよくね?!あの制服とか、名前の響きとか!!」
理由まで幼稚園児。
思わず溜め息が漏れる。
『はあ……あのなぁ、お前はなんでそうなんだよ。もっと自分に向いてるのを』
「向いてるのって何?」
『えっ……』
珍しくムスッとしてる哲也を見て、俺は言葉につまってしまう。
「俺に向いてるのって何?スポーツ選手とか?」
『哲也?』
「……必ず自分のやりたいことと、持ってる能力とがバッチリあってる人、少ないと思う。だからって諦めなきゃいけないなんて俺は嫌だかんね!!」
哲也の言葉はもっともだった。
なりたいからといって何にでもなれるわけじゃないけど、それでも挑戦したいと思うのは悪いことじゃない。
でも、哲也にはスポーツ選手になって欲しかったな。
これは俺のわがままだけど……
哲也がスポーツ選手になって、俺がそのトレーナーになる。
そうしたら、今みたいに一緒にバカやってられる。
そんなこと考えてる俺は、ダメだよな。
決めたのは
将来よりも、今のこの楽しい時間が大好きだから。
かなり、騒がしいけどな。
(東川ー!波野ー!Help!ι )
(!姫ちゃーん!!)
(……はあι 今度はなんだよι )
(男子達に女装を……)
((……やってやれよ/(笑)))
(Σなんで?!)
うーん(笑)なんだかなぁ(笑)