木初高校男子バレー部!4
□噂の泣き虫
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弓田百は泣き虫で女の子みたいな子。
実際に話したことはないけど、遠くから見てたらそれは本当だとわかる。
ほら、今もからかわれただけで涙目。
そんな彼は顔もいいから女子達から騒がれてる。
私は絶対嫌だなぁ、泣き虫な彼氏なんて。
だけどこの日の放課後、私の百に対する見方が180°変わった。
『もーっ先生話長過ぎだっι 』
部活に行くために急いでた私は、近道の校舎裏を通っていた。
その時偶然に見てしまった。
「あははっ!ザマァミロ!」
「調子乗ってんじゃねえよ泣き虫!」
『!』
そこにいたのは、学年のボス的存在の人とその取り巻き達。
囲まれているのは……
「……」
鞄の中身をぶちまけられて、呆然としてる百だった。
『……何やってんの?!』
「!チッ……うるさいのが来たよ」
「もう行こうぜー」
私が駆け寄ると、そいつらはバタバタ逃げて行った。
『百!大丈夫?!』
私は百は泣いてるもんだと思ってた。何せ泣き虫だし。
でも当の百はけろっとしてて。
「あれ、松下さん?何してるのー?」
いつもの、柔らかい笑顔で笑った。
『何って……なんで泣いてないの?!』
「Σふえっ?!ぼ、僕だってそんな毎日泣くわけじゃ……」
『いつも泣いてんじゃん!!』
「Σびくっ うっ……」
『Σあ、えっと……ご、ごめんね?ι 』
なんでさっき泣かないで今泣くの?!
私が悪いことしたみたいじゃん!ι
それから百は泣きながら散らばった荷物を拾った。
端から見たら私が百に嫌がらせしたみたい……
それが嫌で私も拾うの手伝って、泣き止むまで側にいた。
部活は完全に遅刻だよ、まったく。
『もう大丈夫?』
「うん……っなんか、ごめん……」
『(本当だよまったく……)』
百はリュックをぎゅっと抱き締めた。
女の子が使うような、可愛らしいリュック。
これでいじめられない方がおかしい……のかなι
「あ、あの……松下さん?部活いいの?」
『え?あー……今から行っても……』
「そっか……ごめん……」
また泣きそうな顔をするから、私は慌てて『気にしなくていいか
!ね?ι 』と励ました。なんでこんなことしてんのかなι
すると、百は突然私の手を掴んだ。
『Σえ?!』
「埋め合わせします!」
『う、埋め合わせ?ι ちょっと!ι 』
私の話を聞かないでそのまま走り出す百。
意外に力、強い……そして速い!!ι
しっかり繋がれた手を振り払えなくて、私は必死に足を動かした。
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