恋音
□本当の"俺"
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「恋斗は面倒見いいよねー」
『……お前が手のかかるヤツなだけだ』
「えー、そうかなー」
俺は周りのヤツと比べ、随分と落ち着きがあるらしい。
だからなのか、大人からも頼りにされることが多かった。
俺自身はそんなに突出して能力があるわけではない。
ストレスが溜まる……
「恋斗!免許取りに行こっ!」
『……は?』
16歳の誕生日に、何故か母さんが言ってきた。
面倒だから断ったが母さんは聞かず、次の日には俺を連れ出して教習所へ行った。
「わ、君筋いいね!」
『……そうですか』
最初は乗り気じゃなかったが、乗ってみると案外楽しかった。
「いやぁ、織田くんこの感じだとすぐ免許取れちゃうよ!」
『はぁ……』
免許を取ってからは、特に目的はないけどバイクを走らせる事が多かった。
いつもの我慢している俺とは違う、どんどん自由になっていく感覚。
きっと、こっちが
本当の"俺"
なんだろうな。
(恋斗くん、今日もツーリング?)
(あぁ、行ってくる)
(気をつけてねー!)
オチつけれなかった……