言葉の欠片はあなたと共に
□第1章 愛し合うふたり
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「はあっ……かな兄…………」
切なげな甘い声が、俺の脳髄を痺れさせる。
繋がっている箇所が、全身が熱を帯びる。
仁は俺のことを『かな兄』と呼ぶ。
家が近所なせいか、幼いころから常に一緒に居たような気がする。
体を重ねるのもこれ が初めてではない。
「仁、もっと欲しい……」
「んっ、いいよ」
仁は律動を速め、俺の息はますます苦しげなものに変わる。
仁の肌は白い陶磁器のようにきめ細かく、 絹のように滑らかだった。
俺に覆い被さる彼の背中や腕、滴る汗すらも愛おしい。
「仁、ずっと側にいてくれるか?」
「かな兄だって離れちゃ嫌だよ?」
熱の余韻に浸り、愛を囁き合う。その言葉 だってもう飽きるほど口にした。
――それでもいつか、別れは訪れる。