青嵐吹くときに君は微笑む

□第1章 きっとどこかで出会ったような
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「お兄ちゃんお願い、代わりにコンサート行ってきてよ」
「もうしつこいな。俺は興味ないって言ってるだろ?お前が行けばいいだろ」
「だからぁ……」


なぜ朝っぱらから反抗期真っ盛りで最近目も合わせてくれなくなった妹と言い争わなければいけないんだ?と少々うんざりしている俺は相原零(あいはら れい)。一応この家の長男だ。
妹である雫(しずく)の話を要約するとつまり、俺に某アイドルグループのコンサートに行って来いと。省略しすぎか。
 
順を追って話すと、数日前に妹は彼氏と大喧嘩したそうだ。そして今日、彼氏と行く予定だったコンサートのチケットが余ってしまったというわけだ。しかも行く気分じゃないと言い張って……全く自分勝手すぎる妹だ。

「じゃあオークションで売ればいいじゃないか。レアチケットなんだから高く売れるだろ?」
「そんなことしたら会員辞めさせられちゃうよ。次からチケット買えなくなるんだよ?」
「じゃあいけばいいだろ」
「だからさぁ、こんな気分で行ったら失礼でしょ!」
「じゃあなんで全然ファンでもない俺に言うんだよ」

もうずっとこんな調子だ。10周年を迎え、あまりテレビを見ない俺でさえメンバーの名前がフルネームで言えるほど大人気グループのコンサート。
気にならないことはない。
しかしまあ、正直面倒くさい。
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