青嵐吹くときに君は微笑む

□第3章 職人の街と渚のお仕事
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「ふあっ……渚先輩そこ」
 俺は快感に思わず声を上げた。
「ふふっ、零くんのココ、すごく硬くなってるよ」
「そんなこと……痛っ」
「ごめんね、もう少し我慢してて」
 渚先輩はベッドの縁に座っていた俺をうつ伏せに寝かせ、背中を撫でながら、零くんの背中……綺麗、とうっとりと満足そうに呟いた。
 その時間が何だかじれったくて、俺は振りかえり渚先輩の手首を引いた。素肌に感じる柔らかな髪と滑らかな肌、彼の重みが愛おしい。
「早くしてくれませんか?」
 低めの声で囁くとすぐ顔を紅く染める、素直なところも可愛らしいと思う。
「わっ、分かったから早くあっち向いてよ」
「はいはい」
 先ほどの体制に戻ると、すぐに渚先輩は俺の腰を強く掴んだ。

――――……
――……

「はい、これでおしまい。ちゃんと定期的にマッサージしなきゃだめだよ?」
「すみません、なかなかする時間無くて」
「じゃあこれ、汗流しておいで」
 渚先輩は白いバスタオルを差し出す。
「ありがとうございます。それにしても渚先輩、マッサージ上手ですね」
「僕だって元バスケ部なんだから。出来ない零くんも……まぁいいけど」
 渚先輩は口を尖らせながらも少し照れている。何を考えているのかすぐに分かったが、あえて突っ込まないでおいた。今日も平和でよろしい。

 午前中に補習を終えた俺は渚先輩の家でのんびりと休日を過ごしている。
 シャワーから上がると、渚先輩が誰かと電話をしていた。電話を終えると、申し訳なさそうな目で俺を見詰めてきた。
「どうしたんですか?」
「同じバイトの子が風邪を引いたみたいで、代わりに僕が行くことになっちゃったの。せっかく来てくれたのに」
 しょうがないよ、と俺は渚先輩の頭を撫でた。
 上目づかいで俺を見るその瞳は、寂しいよ、と言うように潤んでいた。

「そうだ、渚先輩のバイト先って確かカフェですよね?」
 コクコクと渚先輩は頷いた。
「じゃあ俺もついて行っていいですか?邪魔にならないよう少ししたら帰りますから」
 渚先輩の表情がぱあっと明るくなった。
「是非来て下さい。マスターも会いたがっているよ」
 マスターって何者? という俺の疑問をよそに、渚先輩は上機嫌でバイトへ行く準備を始めた。
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