キミに逢いたい

□第2章 もう一人の最高能力者
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「拓磨、起きて」
「…………」
「たくまー」
「ん……」

「たくまきゅん、起きないとお目覚めのキスす――」
「ぎゃあああごめんなさいごめんなさい起きますから許してください!!!!!!!」

翌朝、飛び起きた拓磨は腰の痛みに顔をしかめた。
そして昨夜の諸事を思いだし、また絶叫したのである。


「拓磨ってさ、俺とセックスする癖に朝の雰囲気ないな」
拓磨は飲みかけの朝食の味噌汁を盛大に吹き出した。

ティッシュで机を拭きながら、向かいに座る睦樹を睨み付ける。
その表情もそそるね、と睦樹は笑い、続けた。
「それで拓磨、今日は学校行く?」
「今日は能力値測定の日だから行く」
「そっか、弁当持っていきな」
うん、と拓磨は卵焼きをくわえながら答えた。

睦樹は錠剤を一気に飲み込むと弁当箱に朝食の残りを詰め始めた。
拓磨も食器を重ねてキッチンへと運ぶ。

「それにしても別人だよな、昨日はあんなに可愛く誘っ――」
「そろそろ黙らないと睦樹先輩の男性としての機能を殺しますよ?」
拓磨は笑顔で箸を構えた。
「はい、ごめんなさい」
睦樹はそそくさと弁当を包み、拓磨に差し出した。

――いや、本当に別人だよ。
と、睦樹は心の中で続けた。
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