言葉の欠片はあなたと共に

□第1章 愛し合うふたり
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ある秋の日、学校でこんな噂が流れた。

「なんか3年の白崎って、男と付き合ってるらしいよ」
「うわ、マジで?白崎ってホモ?」
「なんでも、2年の丹鳥(にとり)って奴と帰り道にキスしてるところを見たって奴がいるんだとよ」
「あ、俺も見たことあるぞ、なんか男同士で見つめあっちゃってさ」
「うわ、ちょっと引くな」
「だよな」

瞬く間に学校中に知れ渡り、先生たちにも伝わった。

「おい白崎、お前何か間違いを起こしてないだろうな」
1番頭の悪そうな50過ぎの先生に生徒指室に呼び出されたりもした。
「何のことですか?」
「とぼけるな、人前で、しかも男同士で……いい加減にしろ」
「例えそれが本当だとして何が悪いんですか?」
「それは人としてだな――」
「もういいです、授業始まるので失礼します」
何かまだ言いかける先生を無視して生徒指導室の扉をピシャリと閉めた。
悔しかった。
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