短編集
□僕だけが知っていること
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「お前さー今日帰り部活あんの?」
「ううん、無いよ」
「じゃあ一緒に帰るか」
―――君はいつも僕のことを「お前」と呼ぶ
「なんだよお前ら、いつも一緒に帰ってるのか?」
「だってコイツを一人で帰すと危なそうだろ?」
「確かに、可愛いもんなー女かよ」
―――君はいつも僕を「コイツ」扱いする
「なぁ、手……繋いでもいいか?」
「しょうがないなぁ、いいよ」
「ありがと……」
―――君はいつも二人きりになると名前で呼んでくれる
僕だけが知ってる、君のクセだよ