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□軌跡
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「宍戸さーん」

俺を見つけると、でかい声で、満面の笑顔を見せながら、どこでても構わずに手を振ってくる長太郎。

「宍戸さん、宍戸さん」
とうるさいくらい後を付いて来る長太郎。

ほんとに、犬みたいな奴だと思った。

昼休みとか、放課後になると、必ず俺のクラスに顔を出す長太郎はもう三年の間では有名で、長太郎が来ることが名物みたいになっていた。

「宍戸、来たよ、おーとりくん(笑)。懐かれてるねー(笑)」

なんて、ダチにからかわれたりして、きまり悪い思いをするのは俺だ。
その度にダチを殴り、長太郎には口を酸っぱくしてやめろと言う。

それでもお前は、えへへ…と笑って誤魔化し、

「だって、宍戸さんを見かけると、つい嬉しくて声掛けたくなっちゃうんですもん」

なんて、ふざけたことを言う。
でも、そんな風に懐かれるのも悪い気がしない…なんて、俺も大概どうかしてるよな。




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