Long Dream
□10. 1年と4ヵ月B
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「わざわざ送ってくれて、ありがとう」
「んや、時間遅くなっちまったから」
あと一時間もすれば日付が変わる時刻、
思っていたより長く話し込んでしまった
誘う時は緊張やら不安やらを抱えていたというのに、
時間が経つにつれ、柄にも無く、今日の自分はいつもよりだいぶ口数が増えていて、
きっとそれは、彼女の柔らかい雰囲気や表情、
つい色々なことを話してしまう。
聞き上手ってこういう人ってのの代表とも言えるだろうなと、
「すごく、楽しかった、また機会があれば、」
にこにこと笑顔を浮かべる彼女を見ると
誘って良かったと思えた
「おぉ、またな、」
「うん、ほんとに、ありがとう、」
手を振る彼女に軽く手を振り返し、
彼女が階段を上がり部屋に入るのを見送ると
自分も帰路につく。
普段あまり感じることのない充実感を覚えた
色々な話をしたからか、彼女との距離が縮まった気がしたからか、
自然と口端が上がる気がした、
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