Long Dream

□3. 6ヶ月
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目の前に積み上がっていく空の皿、

手持ち無沙汰になり何気なくそれを数えてしまうのはいつからか当たり前になっていた。

「(52・・・あと10は軽くいくな、)」

目の前に座る親友、チョウジの食うペースと見比べ推測…、というほどでもないが。

いつもはもう一人の幼馴染のイノも一緒に3人でよく来る甘味屋、

しかし、今日は2人だけだ。

"今日は行かない!!ダイエットよ、ダイエット!!"

する必要があるのかと毎回思うが、痩せていた方が良いんだと勝手に女は解釈している


「(女ってのはめんどくせーな、ほんと)」

案外ぽっちゃりした子の方が可愛いって思われたりすんだよと、

頭の中で呟いても誰も返答などしない、まあ求めてもいないが。

冷め始めたお茶を一気に煽り、空になった湯呑みを指先で弄る。

「この間あった中忍試験の本試験、お前見に行った?」

近くのテーブルから聞こえた会話。

ちらりとそちらに視線をやれば中忍らしき男が2人。

「見に行ってはねーけど、・・・すごい奴いたんだって?」

視線はすぐに外したものの自分もいつか受けることになるだろう中忍試験の話題。

席も近いこともあって自然と2人の会話が耳に入る。

「上忍レベルが使うようなめちゃくちゃ高度な火遁の術を使う奴がいてさ、一撃必殺っつーか、」

「中忍試験でか?そんな凄い奴いたの?」

少し興奮気味に話す男に半信半疑というような声音で返す男。

他人の事にはあまり興味がない自分は軽くその話を受け流す。

「それだけじゃなくてさ、他にもこれまたすごい雷遁使う奴もいてさー。」

「へー」

「本試験ってトーナメントじゃん?」

「あ、その2人が当たったとか?」

トーナメントとかあんのかと頬杖をついて目線は未だに積み上がっていく皿を見詰めながら

めんどくせーなといつもの口癖が頭を過ぎる。

「んで、どっちが優勝?」

「そーれーがー、優勝した奴は別の奴なんだよー」

もったいぶったような言い方と目の前の親友がスプーンを置く音が被った。

「食った食った!帰ろうか」

満足そうににっこりと笑い席を立つ親友に自分も腰を上げた。

「優勝した奴は女なんだよ、」

「女ー?」

レジへと歩き出せば先程の二人の声はだんだんと小さくなり、すぐに聞こえなくなった、

「すげー幻術使いで、その上土遁まで使うんだぜ?」

「お前すげーばっかだな、名前とかは?」

「あー・・・確か、」




店を出てすぐにチョウジと別れた。

ポケットに両手をつっこんだまま家へと歩を進める。

「元気にしてっかな、・・・」

空を見上げれば無意識にそんな言葉が漏れた。






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