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□成長記録 vol鏡音レン
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成長記録〜一日目〜
7月5日

今日は実験体「鏡音レン」が初めて研究ラボに来る日である。
今までクローンでやっていた分、どのような反抗があるか心配だ。

どうやら着いたらしい。
普段から無機質な音ばかりが響く部屋に久々に声が聞こえた。

「此処は…何処ですか?」

確か中学2年生だっただろうか、多少のあどけなさは残るが良い顔立ちをしている。

「いらっしゃい。此処は〇〇×会社の研究ラボよ。」

「研究ラボ…?どうして僕がこんな所に?」

「君には今日から実験体になって貰うわ。」

「え?実験、体?」

「そう。一ヶ月間を此処で過ごすの。勿論私と共同生活よ?」

「えっ、ちょっと待って下さい!一ヶ月間?それに一緒にって…!」

「あら、中学生には刺激が強いかしら?それとも私じゃご不満?」

「いえ、そう言うんじゃなくてっ…///」

「クスクス…冗談よ。自己紹介がまだだったわね。私は此処で研究をしている巡音 ルカよ。宜しくね。」

「えと…僕は鏡音れ「知ってるわ。」

「え?」

「これから一緒に過ごすんだもの。リサーチ済よ。」

「は、はぁ…」

「鏡音レン14歳。好きな食べ物はバナナで、得意なスポーツ・教科はサッカーと歴史。それから…」

「ぁ、あのっ!もう分かりましたから…」

「あらそ?じゃあ、早速説明に入りましょうか。」

「説明…あ、そうだ。僕の家族には…」

「連絡済よ。快く引き受けてくれたわ。」

「そ、そうですか…」

「…?まぁいいわ。あなたには実験体になって貰うと言ったけど、何もそう難しい事じゃない。一ヶ月間あなたが自分で作った仮想世界で過ごすだけ。あ、寝る時は戻ってもらうけどね。」

「仮想世界?」

「そっ。自分で作った理想のパラレルワールド…ってとこかしら?」

「自分の、理想通り…」

「理想通りって事は、今までアイツの性格が気に入らなかったとか、あの子と付き合いたいとか、全部叶っちゃうのよ。楽しそうでしょ?」

「確かに、そうですね…」

「勿論学校一モテ男なんて事も出来るわよ?定期テストで1位とかもね。どう、住みたくなってきた?」

「ええ、まぁ…」

「なーんか乗り気じゃ無いみたいね。まぁ此処で生活するのは避けられないから、徐々に慣れると良いわ。」

「……分かりました。」

「じゃあ、部屋に案内するわね。こっちよ。」

「はい。あの、巡音…さん。」

「…ルカで良いわよ?」

「じゃあルカさん。此処って、本当にルカさんと僕だけなんですか?」

「そうねぇ。基本的に報告とかもメールだし、滅多に来る人も居ないからそうなるかしら?」

「あ、そうですか…」

「ほら、此処があなたの部屋よ。…鏡音財閥の息子には狭いかしらね。」

「それはっ……!大丈夫、此処で十分です。」

「そう、良かったわ。じゃあご飯の時間になったら呼ぶからそれまで荷物の整理とかしててね。…あ、トイレは其処を真っ直ぐだから。」

「分かりました、ありがとうございます。」

「いえいえ。どう致しまして♪」

(鏡音レン…調査報告書にもあったけど、かなり面倒な家庭事情の様ね。)


鏡音レン…鏡音財閥の御曹司。後継者にはなっているが表面だけの存在と見られる。
実際には姉の鏡音リンが経営担当をする模様。
母は5年前に亡くしており、再婚した継母とは上手くいっておらず父とは疎遠になっている様子。

以上が家庭事情の報告書である。


(こりゃ、苦労しそうだわ…取りあえず。夕食はお肉を使いましょう♪)
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