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□成長記録 vol鏡音レン
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成長記録〜2日目〜
7月6日
彼が此処に来て一日が経った。
特に変わった様子も無く普通に過ごしている。
「お早う御座います、ルカさん。」
「あら、結構早いのね。まだ5時よ?」
どうやら彼は随分と起きるのが早い。
家の決まり事であったらしいが。
「ご飯食べる?」
「いえ、平気です。」
「…ねぇ、その敬語止めない?」
「え?」
「私そう言うの慣れてないって言うか…苦手なのよね。」
「…もう少し、此処に慣れるまで許してもらえませんか?」
「別に強要してる訳じゃないから全然良いわよ。」
「すみません。」
「じゃあ早速なんだけど、仮想世界に行きますか。ずっと此処に居るのも退屈でしょ?」
「あ、はい!」
「随分と嬉しそうね?」
「あっその…自分の理想通りって聞いたから……凄く楽しそうだなって///」
「そう?まぁ、そうなのかも知れませんね…」
「えっ?」
「いえ、何でもないわ。さっ準備しましょうか。」
「………」
(意外と鋭い子なのね。流石御曹司って所かしら?)
「仮想世界に行く前に注意事項を三つ。
一つ目はご飯とかの事ね。この中で食べても、実際には脳が満足しただけだからちゃんと戻ってきて食べてね。
二つ目は時間。仮想世界の中の8時には戻って来なさい。大丈夫、何かあってもその時は時間が止まるから。其処まで心配する事じゃないけど、一応ね。
三つ目は…中での関係について。登場する人物はそっくりそのままよ。性格なんかは初めに会った時に自分の好みに合わせて設定されるから、今から考えておくと良いわ。
それで本当に注意して欲しいのは、恋愛関係ね。中では基本的に何をしても良いけど、戻れなくなるような事だけは…しないでね?あなたなら分かるわよね。」
「っ……分かってます///」
「じゃあ、ここに入って。」
「…ルカさんって凄いですね。」
「え?どう言う事かしら?」
「いや、あんな難しそうな物を操作しながら詳しく説明してくれて…」
「ふふっ、そんな事?あなただって相当成績が良いって聞いてるけど。」
「まあ、否定はしませんけど…僕が言いたいのは「はい、其処までね?早くお行きなさいな。」
「……はい。行って来ます。」
「行ってらっしゃい。」
ウィーーーン…やけに長い機械音が部屋の全音を支配する。
しばらくして収まった機械音はまた静かに起動し始めた。
「はー…中々疲れるものですね、人の相手というのは。」
ピッ。
「博士…ルカです。」
『…巡音か。どうだ?少年の様子は。』
「今の所変わった様子はありません。たった今ワールドに行きました。」
『そうか…して、少年はどのような性格なのだ?』
「そうですね…至って普通の男子中学生、と言う所でしょうか。敢えて言うなら家族関係が上手く行っていないようです。」
『分かった。』
「仮想世界が理想通りになる、と言ったらワールドに行く前とても喜んで居ましたよ。中々可愛い子ではないですか。」
『はははっ、君がそんなにお喋りになるとは相当その少年が気に入ったようだな。』
「なっ!…そんな事はありません。仕事ですから。」
『その台詞を聞くのは何回目になるかな…まぁ一ヶ月間少年の成長を楽しむと良いだろう。あれはかなり変わるぞ。』
「ええ、そのようですね。では…少年の様子を見て来ます。博士もこの時間会議があるのでは?」
『おぉそうだった。では随時報告してくれ。』
「了解しました。」