TMNT

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「本当だってばぁ!!」

ミケランジェロの絶叫に、兄たちは顔を見合わせてから揃ってため息を吐いた。

「お前またかよ」
「シルバー・センチュリーのことじゃないのか」
「下水道戦隊亀レンジャー。悪に立ち向かう四人の亀、だっけ」
「ちがうちがう!センチュリーでもオイラの話でもなくて!」

スケボーを担いで出かけたミケランジェロが大騒ぎしながら帰ってきた。時刻は深夜。叩き起こされて不機嫌な兄たちを総スルーしてこんなことを言い始める。スーパーガールを見た!と。
ミケランジェロの話によると、屋上でスケボーを楽しんでいたところ、予測ミスで転んでしまいその際ヌンチャクを落としてしまった。ビルとビルの間に吸い込まれていくのを見て慌てて駆け寄ると、

『落し物はこれ?亀さん』

スーパーチャーミングな笑顔で落としたヌンチャクを差し出す、マントを羽織った女の子が宙に浮いていた。

「マーイキー」
「スーパーチャーミングだったのはほんと!超可愛かった」
「そこじゃねえよ。ふわーあ、もういいか?今何時だと思ってんだ」
「なんで信じてくれないのさー!!」

拾ってもらったというヌンチャクを振り回して、全く信じようとしない兄たちにすがるミケランジェロ。「じゃあとっ捕まえてくればよかったじゃねえかよ」とラファエロが興味なさげに言った。

「お礼言ったらすぐに飛んでいっちゃったんだよ。あとを追ったけど黒いマントだったから空に溶け込んで見失っちゃった」
「ふーん。マントが黒いっていうのはもしかしたらミケランジェロが言う通り、闇に溶け込むためかもね。僕らみたいに人にばれたらいけない立場なのかな」
「なんだよドナテロ。信じてるのか?」

ドナテロは顎にやっていた手を放って、ついっと肩をすくめた。「まさか。もし本当にいるなら話を聞いてみたいけどね」
兄たちが冷める一方、ミケランジェロは未だ興奮気味に辺りをうろうろぶつぶつ歩き回る。

「スーパーガール……スーパーガール……女の子で、真っ黒だから……ブラックガール!」
「なにがだよ」
「彼女のヒーローネームに決まってるじゃん!ブラックガール、かっこよくない?」
「だせえ」
「安直」
「ミケランジェロ」
「もしかしたらヒーローネームはもうあるのかも。ねえ、探しに行こうよ!オイラの話が嘘じゃないって証明してあげる!」

一向に折れないミケランジェロにとうとうレオナルドが折れた。敵襲かと勘違いして背負った刀を下ろし、ミケランジェロを宥める。

「わかった。わかったから、スーパーガール探しは明日にしよう。今日はもう寝るんだ」
「オイラ興奮して寝れなさそう」

面倒なことになったと、兄たちはまた一つため息をついた。
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