TMNT
□SS
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まえがみ
なにかを思いっきり切り込んだような音が聞こえた。次いで高低の違う二人分の絶叫も。声から察するにミケランジェロとナマエだ。
なにかあったのかと視線を巡らせればはさみを持ったミケランジェロと、前髪を押さえてなおも絶叫するナマエを見つける。
「ひどーいマイキー!」
「ご、ごめーんナマエ!」
「なにしてるんだよ二人とも」デスクから離れずに声をかけるとナマエが振り向いた。その前髪が。
「ぶっ、くく!あ、いや、笑ってないよ。どうしたのそれ」
「邪魔だから切ってって言ったらマイキーが!それよりドニー、今笑ったでしょ!」
「手元が狂っちゃったんだよー、ごめんてばナマエちゃん」
どう手元が狂えば大きく斜めに傾いた切り方になるんだか。完全にアシンメトリーになったナマエの前髪。ちょっと泣きそうになっている彼女がさすがにかわいそうで作業は中断。なんとかできないものかと触れてみた。
「うーん、これはもう揃えるしかないね」
「マイキー」
「す、すぐに伸びるって!我慢我慢」
ミケランジェロから僕にはさみが渡り、ナマエはしぶしぶ目を閉じた。
「もうマイキーとしばらく口聞いてやんない」
「ええーそんなご無体な!……えっ、さっそく無視?」