ゲーム

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「大王様」

凛としたその声に頭をもたげれば何とも良い香りが漂ってくる。からからとワゴンを押して現れた彼女は決まってこう言うのだった。

「お茶をご用意致しました」







季節は冬。日が暮れて夜の闇を纏いつつある空を仰ぐ。重く垂れ込めた雲は何かを抱え込んでいるようにデデデには見えた。

「なんでまた、こんな時期に外にいらしたのですか?」

風邪を引きますよ、とブランケットを渡される。出された紅茶を飲んで返事を誤魔化すとため息をつかれた。

「わざわざ夏用のデッキチェアまで引っ張り出してきて」
「気分だ、気分」
「はあ」

呆れたような声が返ってきて、先程まで考えていたことを口にしてみる。

「そういえば、お前と初めて会ったのもこんな感じの日だったな」

返事はない。
視線は前に向けたまま少し待つと、そうですねとだけ返ってきた。
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