人見知り芸人@

□できない、
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「そういえば、ご飯いるのかな」


2人分買ってきちゃったし、他に使うものないし






「まあ、でも食べないか。この時間だし」


浮気だし。




まあ、いいや。全部使っちゃえ








野菜を切り終えて、ボウルに入れる。





「はい、出来上がり〜」






写真を撮り、最近宣伝ばかりだったTwitterにツイートする。

インスタにもあげておこう。








食器を用意していると、なぜか2人分テーブルの端と端に置いてしまった。

ひとりなのに








「む、虚しい......」






どうせ帰って来ないし、と片付けようとした瞬間




インターホンが鳴った。







「...はい」




誰だ。通販は頼んでないし







『...ごめん鍵忘れてた、開けて』

「あれ?あ、わかった。今開けるね」








有吉さんだ

帰ってくるの早くないか?

浮気じゃなかったのかな






玄関を開ける






「おかえりー、早かったね」

「...うん、打ち合わせだったから」

「そっかそっか、あ、ごはん作ってたんだけど、食べる?」








本当に仕事だったのかな

疑っちゃった

でも浮気はしてると思うんだよね







リビングに移動する


あ、食器そのままだった









ふと、有吉さんを見ると






「...ごめん」









今まで見たことのない、泣きそうな顔をしていた







...あ、やっぱりそうだったんだ。

有吉さんと付き合ってから、女の勘みたいなものが身についた気がする







「......っ」







あれ、なんだろう

なんか可愛い








そっと抱きしめて見ると、なんだか母親になった気分







「......帰ってきてくれたんでしょ」







びっくりしたかな。

バレてるって思ってなかったのかも







「...もう迷わないでね」








母親じゃないか、完全に



家出して迷子になった息子を見つけて

弘行!もう迷っちゃダメよ!












「...っ、ごめん...」

「ふふっ、何泣いてんの、らしくないよ...ご飯食べよ?」








ああ、なんか微笑ましい光景っぽくなってる

浮気されたのに




ただ、僕はあなたの恋人ですので





「代わりなんか作らないで、言ってくれればよかったのに」






...いつでも、お待ちしてますよ?








end
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