人見知り芸人@

□雨夢心
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あの時泣いたのは、自己嫌悪と、何か別の感情が混ざっていたように思えた。







"それだけじゃ、ないよな…?"






そう言って、貴方は僕が想いを告げず、帰ろうとしたのを引き止めた。


僕は、同性に恋をしてしまったことを悩んでいた。


どうしてそんなこと聞いたんですか?
僕が自分の気持ちを押し殺していれば、こんな関係は生まれなかったかも知れないのに。

貴方が僕に対して抱いていた気持ちに気が付かないまま、本当の幸せを手に入れることができたかも知れないのに。




ねえ、有吉さん。
貴方があの時、僕を引き止めていなかったら、追いかけて来なかったら、こんなに貴方を想う事なんてなかったのかな?













僕は、ある時から、有吉さんが僕に特別な想いで接していることに気がついた。

昔から人の心を読むことが得意な方だった。

始めのうちは、自分の勘違いだと思ったが、そうでは無かった。





番組で共演することが増えた僕らは、話す機会も多くなっていった。

有吉さんが、再びテレビに出るようになったのと、僕がピンで活動し始め、少しずつオファーが増えた頃がほぼ一緒だった。



ひとつの括りでトークをする番組も、同じような考えを持っているから共演が多いんだろう。



その中で有吉さんは、僕に対する共感が親近感に繋がり、それが別の感情に変わっていったようだった。


他の番組でも、僕をライバル視している体で、なんとか絡めるようにしていたのも何となく気が付いていた。
















ねえ、それでいいの?
僕なんかより、いい人がいるじゃないですか

なんでわざわざ僕にしたの?

僕は、有吉さんの望むものを半分もあげられないよ?



……本当にそれでいいの?
ねえ、答えて下さいよ
僕はどうしたらいいんですか?

有吉さんの気持ちに甘えてもいいの…?



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