FAIRY TAIL 短編

□第1次チョコ争奪戦争
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「なぁ、モカ結婚してくれ。」

『ナツ、いつも以上に頭がおかしくなってるよ?』

「俺は本気なんだ!」

『ごめん、本気で笑えてきちゃう。』



とうとうその会話に我慢できなくなったグレイはグイッとモカを自分の方へ抱き寄せた。

グレイに抱き寄せられている事に慣れているモカは特に驚いた声をあげずにグレイを見ると
それはそれは明らか不機嫌な表情をしていることがモカでも分かった。



「いくら惚れ薬入りのチョコを食べてモカを見たからと言って、それはまじで気に食わねぇなぁ。」


「あぁ?てかグレイ
お前はいつも何様なんだよ?
モカの彼氏でもねぇのにいつもモカにベタベタ触ってんじゃねぇ!」


「確かに彼氏でもなんでもねぇよ?
でもお前がモカに触れてると更に腹立つんだよ。」


「モカはお前の物じゃねぇんだよ。なに勝手に独占してんだ」


「お前の物でもないからな。
付き合ってもねぇのに結婚とか言うなよ。どんだけお前は頭悪いんだ。」



ナツはともかく。暴走しているグレイにモカはツンツンと頬をつついた。

つつかれたグレイはハッとなり慌ててモカを見る。



『今のナツの言葉は本音じゃないよ?惚れ薬によって言わされてる事だよ?だからグレイ落ち着いて。』


「…あぁ、そうだよな、悪ぃ。」



グレイはモカの頭を撫でると、モカは気持ち良さそうに目を細めた。



「おい!俺を置いていちゃコラすんじゃねぇよ!」



するとナツはグイッとモカの左手を引っ張るが、グレイはモカを離さないよう更に強く抱き締めた。



「クソ炎、お前にはぜってぇモカはわたさねぇ。」

「あん?それはこっちのセリフだ」


『(グレイのバカ。
だからこれは惚れ薬を飲んだナツなのにぃ…。)』



モカは呆れたように2人を見つめていると、突如どこからか沢山のチョコが3人にめがけて飛んで来た。

だが言い合いしているグレイとナツは全くそのチョコに気がつかない。



『グレイ!チョコが飛んで来てる!』

「あ?」



そんなモカの言葉に一足気づくのが遅かったグレイは、誰かが投げたチョコレートがピンポイントに口に入りゴックンと食べてしまった。



『あ、グレイチョコ食べちゃったね。』

「あっ…」



その途端にグレイはモカの顔を見る。



『グレイ?そのチョコは惚れ薬じゃないよね?猫耳とか生えるチョコだよね?』

「あぁ、」

『よかったぁ。』



これ以上めんどくさい事にならなくてよかった。と安心するモカだったが、いきなりグレイが抱きしめる強さを更に増した。



『きゃ、グレイ、少し苦しいよ。』



するとグレイはそんなモカの言葉など聞かず、モカの耳元で静かに囁いた。



「好きだ、モカ。」

『…』



どうやらグレイが先程食べたのは惚れ薬入りのチョコだったらしい。



『ちょ、グレイ。耳元で囁かないでっ』

「なんだよ。そんな恥ずかしがることじゃないだろ?」



グレイはまたモカの耳元でそう囁くと、今度はモカの耳をペロッと舐めた。



『ひゃんっ。や、やめてっ。』



いつもより全く違うエログレイにモカは少しだけ顔を赤らめてしまう。



「おい!だから俺を置いてくなよ!」

「モカ、俺に捕まってろよ?」

『は?え?なにするの?』



横でガミガミ言うナツをよそに、
グレイはモカをサッとお姫様抱っこをすると、その場から逃げた。



「あぁ!おい!待て!」



そんなナツの言葉も聞かずグレイはギルドからモカをお姫様抱っこしながら出て行ってしまった



『(もーう、めんどくさい。
どうにでもなればいいや。
それにしても、ウェンディとジュビアの姿見なかったけど大丈夫かなぁ。)』



呑気にそう考えているモカを見るとグレイは、モカの耳にフッと息を吹きかけた。



『ひゃん。だ、だから何でこういうことするのっ!』

「俺を前にして考え事とはずいぶんと余裕だなぁ。今すぐ俺のことしか考えられなくしてやるよ。」

『ねぇもう、めんどくさい。
惚れ薬飲むと惚れるんじゃなくて、
エロくなるの間違いじゃないの?』



それでも余裕の表情のモカだった、惚れ薬を飲んでこんなエロエロになってしまったとはいえ、グレイは変な事をしないから大丈夫だろう。と安心していたからだ。



でもそんな安心もすぐさま何処かへ飛んで行ってしまった。







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