FAIRY TAIL 短編
□それぞれの気持ち。
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大魔闘演舞3日前。
私達は急遽、
ウルティアさんの魔法にあやかり自分達の第二魔法源の開放をしてもらった。
一番手のナツが終わった後、私もやってもらったけどそれってすごく痛いの。身体中の骨がミシミシと鳴って、関節が…ってこれ以上もう言いたくない。
でも、普通沢山修行しなきゃいけないのを、痛みを我慢するくらいで得られるのなら容易いモンよっ!
ウルティアさんには感謝ね。
私は、先程(とは言うものの星霊界で遊んでいたため実際3ヶ月後)みんなで修行だと名乗って遊んでいた浜辺を一人で静かに歩いていた。
だってグレイが全裸になっていきなり話しかけて来るんだもん。
ジュビアちゃんはすごーくガン見してたけど、私はなんだか恥ずかしくって逃げ出してきちゃった。
サンダルはみんなが痛い思いして頑張ってる小屋の中に置いて走ってきちゃったのよね。でも、裸足で歩く砂浜も中々気持ち良かったりする。ま、いっか。
綺麗な夕日が海に落ちる直前。
海は鮮やかなオレンジ色に染まっている。とても綺麗。
『はーあ。7年かぁ。』
今はあれから7年後の世界。
マグノリアの事情もいろいろ変わっちゃって、前より更にめんどくさい事になっちゃってるみたい。
でも、妖精の尻尾に新しい仲間アスカちゃんっていう可愛い子がいることにはすごく驚いた。ビスカさん達おめでとう!
恋なんて…私はダメすぎるの。
だって、自分の大好きなモノを傷つけちゃうから。
おじいちゃんだって、ギルダーツだって…それにグレイだって、私の意思関係なしに変換魔法は相手を傷つけてしまう。
力の制御が難しいの。
今はおじいちゃんから貰った制御(リミッター)のピアスを身につけてるから魔力は一応は抑えているものの…私の魔力は膨大みたいで、油断をすると溢れちゃう。
幼い頃に、グレイに頭を撫でてもらった時があったけど、なんだか恥ずかしくってグレイのことを手で軽く払ったらそのままどこかへ飛んで行っちゃったのよね。
後で大号泣しながら凄く謝った。
グレイは優しくて怒らずに慰めてくれたけど、グレイの身体にまとわりつく包帯が更に私の涙腺を崩壊させた。
素直なジュビアちゃんが可愛くて羨ましいな。
私は立ち止まりその場に腰をおろした。フカフカの砂場は、筋肉痛みたいに身体中がまだ痛い私にとって気持ちよかった。
目の前にある海には、夕日が先程より少し落ちている。
どれだけ長い時間考え事をしてたんだろう。
私はすぐ傍らにあるサラサラの浜辺の砂を片手ですくうと、とても強く握りしめた。そして、頃合いを見計らって手を開くと先程までサラサラの砂だったそれは、とても硬くで頑丈な石に変化していた。
『…私も、ルーシィみたいに可愛くて、エルザとナツみたいにカッコ良くて、グレイとジュビアちゃんみたいに綺麗な魔法がよかったなぁ』
そんなことを呟いてみた。
すると、突然後ろから人の気配がした。少し殺気も混じってる。
私は先程石みたいに固めた砂を思いっきりすぐ後ろの木へと投げた。
石は貫通して木に穴が開く。
『あれ?』
人の気配は私の勘違い??
後ろを振り向いてみると、そこには….
『あっ、グレイ…』
「オ、オイオイ。
モカを心配して追って来たら石投げられるってどーゆうことだよ。」
私のサンダルを持ったグレイがいた。
冷や汗かいてる…。ごめんなさい。
『ごめんね。なんだか勘違いしちゃったみたい。』
「まァ、当たらなかったからいいけどよォ…。ほら、サンダル持ってきたぜ!浜辺も貝殻とか沢山落ちて危険なんだ。裸足であまり歩くなよ。」
『ありがとう、グレイ。』
私はグレイからサンダルを受けとった。グレイはほんとに昔から優しいよね。
私はグレイが大好きだよ。
そして、そんなモカを穴の開いている木の影から見ている人物が一人。
「(ジュ、ジュビア…死ぬかと思いました…。)」
自分のモカに対する少しの殺気を読まれ、石を投げつけられたことに驚くジュビア。
「(モカさんはほんとに凄く強い。ジュビアの適わない相手かもしれない…でも、モカさん…私はあなたの事が許せません!)」
メラメラと闘志を燃やすジュビアだった。
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