FAIRY TAIL 短編
□第1次チョコ争奪戦争
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そして決戦の日
2月14日バレンタインデー。
モカはウキウキしながら。
しかし、ルーシィはヘトヘトになりながら2人でギルドへ向かっていた。
結局昨日はモカがルーシィの家に泊り込みでチョコをつくったらしい。
「(ほんとにモカにチョコを教えるのは壮絶だったわ。死ぬかと思った。)」
そう思いながらモカを見つめるが、モカは嬉しそうにプレゼント用の小さな袋を抱えていた。
そんなモカの表情を見つめれば心がふわっと軽くなる。
「結局まともに作れたのは1つだけだったわね。」
『でもルーシィありがとう!
喜んでくれるといいなっ!』
「(ふふふ、これでやっとグレイと結ばれるのかしらねー!)
いいってことよ!早く渡しなさいよっ!」
『うんっ!』
そしてようやくたどり着いたギルド。
ガチャリとモカがその扉を開けると、ギルド内はとても悲惨なことになっていた。
『「な、なにこれ?」』
おもわず2人の声が重なった。
ギルド内はイスやテーブルがぐちゃぐちゃになっていて、チョコが壁やテーブルなどあちこちに飛び散っている。
そしてその場所で逃げ惑う人や
なぜか猫耳やうさ耳が生えてる人もいる。
「ど、どうなってんの?」
『と、とりあえず中にはいろ!』
そう言ったモカが中に入ると、突如どこからかモカの口にめがけてチョコが飛んで来た。
『えっ?』
だがそのチョコがモカの口に入ろうとしたその時、誰かがモカを引き寄せ抱き締めた。
モカの口に入らなかったチョコは、コツンと後ろにいたルーシィの額にあたる。
「あっぶねぇ、危うくモカの口にあのチョコが入るとこだった。」
『あ!グレイだ!』
モカのことを引き寄せ抱き締めたのはグレイだった。
グレイはモカを離すと頭を優しく撫でた。
そしてモカの後ろにいたルーシィは額に当たったそのチョコを気持ち悪い目で見つめる。
「ねぇ、グレイどうなってんのよ。
てかこのチョコ動いてんだけど。
それになんでレビィやリサーナに猫耳やうさ耳生えてんのよ。どうなってんのこれ?」
「実はな、いま魔法入りのチョコをみんなが投げつけあってんだよ。」
『魔法入り?』
「あぁ。今年のバレンタインデーは惚れ薬や耳を生やす薬をチョコに混ぜて相手に渡すっていうのが流行るって週刊ソーサラーで特集やってたみてぇでな。
それを見たミラちゃんとカナは猫耳やうさ耳を生やす薬を混ぜたチョコをみんなの口に投げつけて今こうなってんだ。」
遠くにいるエルフマンが猫耳を生やし、怒り狂って沢山のその魔法入りのチョコをいろんな人に投げつけていた。
「な、なるほどねー…。」
「マスクをしてもすり抜けるチョコだそうだ。」
「それどんな魔法よっ!!!」
だけど、明らかおかしい人物が数人いた。その人たちをモカはじっと見つめる。いや、やっぱりおかしい、と
『ねぇ、グレイ。
なんでガジル君がハッピーの事を抱き締めて顔を赤らめてるの?』
「げっ!?なにあれ?
普段のガジルじゃあり得ないじゃない!」
そう、おかしな行動とはそういう人たちのことだ。
ハッピーに関しては気持ち悪そうに気を失っている。
他にもナツがハートの目をしてシャルルを追いかけていたり、エルザはミラジェーンにべったりと抱きついていた。
「あぁ….地獄だ…
ジュビアが惚れ薬入りのチョコをばら撒いたんだ…」
「ジュビアもやるわねぇ。」
『惚れ薬ってなに?』
「モカはまずそこからだな。
その惚れ薬入りのチョコを食べた瞬間、目があったそいつの事を好きになるらしい。」
『へぇ〜』
「モカ?すごく目がキラキラしてない?」
そんなルーシィの声も耳には入らず
モカは惚れ薬入りのチョコのことを考えていた。
『(そのチョコ、ジュビアちゃんに食べさせて私のこと見たら、ジュビアちゃんも私のこと好きになってくれるんだっ!)
私も参戦するーっ!!!」
「「は?」」
モカはそう言うと自分が作ったチョコを近くのテーブルに置くと、ギルド内を走り出した。
その様子に慌てるグレイとルーシィ。
「おい!モカ待てっ!」
「ちょっとぉ!置いてかないでよ!」
そう言い走り出したルーシィだが、
どこからか飛んできたチョコをゴックンと食べてしまい、その瞬間ルーシィはカナを見た。
「カナすきー!!」
「は?ちょっ、ルーシィ!?」
あちこちで悲惨な出来事が起きている中、モカはめげずに惚れ薬入りのチョコを大量にかき集めた。
『ジュビアちゃんどこっ?』
「おい!モカ、お前なにしてんだ!」
グレイはやっとモカに追いつき手を掴んだ。
モカは腕を掴まれ咄嗟にくるっとグレイの方を振り返るとそこにはジュビアがいた。
『ジュビアちゃんいたっ!』
「グレイ様!さぁチョコを食べてください!」
双方チョコを手に持つと、お互いに投げつけあった。
すると運が悪いことに、
その間を通り過ぎようとしていた
シャルルとナツが双方から投げられた惚れ薬入りのチョコを食べてしまった。
「「「あ」」」
ジュビアとグレイとモカの声が重なり3人共シャルルとナツを見た。
モカの脳内では
先ほど話していたグレイの言葉がリピートされる。
"その惚れ薬入りのチョコを食べた瞬間、目があったそいつの事を好きになるらしい。"
「モカ!ナツの目は見るなっ」
『え、あ…』
すると、シャルルはハートの目をしてジュビアに抱きついた。
「ジュビアっすき!」
「シャ、シャルルさん!?」
そしてナツは静かに俯きながら、グレイとモカに近づいてきた。
モカの前で立ち止まると、スッと顔を上げモカの左手を握る。
『ナ、ナツ?』
「おい!おめぇモカなに触って…」
「モカ好きだ、結婚してくれ。」
「『は?』」
それはそれは真剣な目で言うナツにモカは少しだけ顔を赤らめてしまった。
隣にいるグレイは顔を赤らめているモカを見るとかなり不機嫌になった。
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