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□コンプレックス
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私、ある重大なコンプレックスを持っています。それは…


「なまえ…また胸大きくなったんじゃない?」


たまたまあるカフェで会った学園時代の友達、友ちゃんと春ちゃん。


二人と昔の話に花を咲かせていたら、友ちゃんにそう言われた。


そう、私は胸が大きいことがコンプレックスなんです。


「うん…そうみたい」


ため息混じりにそう答えると、「大き過ぎるのも考えものね」と、友ちゃんが笑う。


「あんたの場合、全体的に見て痩せてるから余計目立つのよねぇ」


友ちゃんの指摘に一気にテンションが落ちてしまう。


昔の元彼とのトラウマがあり、この胸が気になって…今付き合ったいる方ともエッチ出来ない状態なのでした。


「一ノ瀬さん偉いねぇ…ちゃんと待ってくれてるんでしょ?」


そう。彼ートキヤは私の心の準備が出来るまで待っていると言ってくれているのですが…


「同棲までしててそれはないっ!」と友ちゃんにお説教され今に至るのです。


「やっぱり…覚悟するべかなんでしょうか?」

「まぁ、一番はあんたの気持ち次第だとは思うけど…」

「一ノ瀬さんならきっと理解してくれるんじゃないでしょうか?」


二人から笑顔で「大丈夫」と背中を押され私は家へと帰宅することにした。


「今日はまだトキヤ帰ってこないよね?」


確か今日は夕方に帰ってくると言っていたはず。


それを確認して、私はニットを脱ぎ捨てサラシを外す。


締め付けられていた胸が揺れながら解放され、楽になる。


深く深呼吸をして、もう一度サラシを巻き直そうとした時…ガチャリとドアが開く音が耳に届く。


スローモーションのようにゆっくり振り向くと、珍しく動揺を隠しもしないトキヤと視線が会った。


「何を…やって…っ」

「きゃぁぁっ!?」


私は胸元を隠しながらその場にしゃがみ込む。


トキヤは直ぐに後ろを向いてくれたようだけど、胸元を見られたことには変わりない。


もしかして、嫌われた…?


私がトキヤに胸を見られたくなかったのは、嫌われたくなかったから。


今まで、出会ってきたどんな男性より好きで、愛しくて。


だからこそ見られたくなかったのに…


そんなことを思っていると、自然と涙が浮かんだ。







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