君と共に
□第二話 客人を乗せて
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「あ、キャプテンお帰りー。」
「白くまが喋った。」
「くまですみません。」
船に着いた第一声はこれだった。
「ベポ。他のクルーを呼んで来い。」
「アイアイ。」
ベポと呼ばれたくまは颯爽と船の中に消えていった。
「立ち直りも早いのね。」
デッキで待っているとぞろぞろと同じつなぎを着たクルー達が集まってきた。
「あー。昨日の女だ。」
酒場であったミーシャの顔はほとんどのクルーが知っていた。
「次の島カジャル島までこの船に乗せることにきめた。」
ローは全員が集まったのを確認するとそう一言だけを告げた。
「えっと。船長さんが言ったとおりです。キャンベル・ミーシャです。よろしく。」
分かってはいたが男の人ばっかりね。
挨拶をしながらクルーを見渡しミーシャは内心そう思った。
「武器をもっているだろ?それを出せ。」
ローは樽にもたれ腕を組みながらミーシャにいった。
ミーシャは昨日使った銃を前に投げ捨てた。
「それだけじゃないだろ?」
ローにはすべてお見通しなのかニヤニヤしている。
「・・・ないわ。」
「いや。あんたは持ってる。海賊船に乗るんだ。警戒しているのは分かる。だが、ここは俺の船だ。あんたの身の安全は俺が保障する。」
ミーシャはじっとローを見つめた後ため息をついた。
「・・・今の言葉忘れないでね。」
ミーシャはそういうとロングスカートをたくしあげた。
クルーたちがどよめきだつがミーシャは気にしない。
そのスカートが太もも位まで上がるとショートパンツをはいていた。
だがそれだけではなかった。
それぞれの足にはベルトが巻かれており、銃などが引っ掛けられていた。
ミーシャはそれら全てを前へと投げる。
その数、先ほどの銃も含み銃が2丁、ナイフ2本、催涙弾3つ。
これにはローも驚いていた。
「これで全部よ。もう嘘はついてないわ。」
「くくく。思っていた以上に持っていたな。シャチ、武器庫へ入れとけ。」
「え。あ、はい。」
シャチと呼ばれた男はミーシャが投げた武器を拾い上げると武器庫へと運んでいった。
「あんた。すげーな。俺達、昨日の戦いも見てたんだぜ。」
「そうですね。皆さんお酒を楽しまれてましたね。」
「堅苦しい言い方はなしだぜ。ミーシャは歳はいくつなんだ?」
「22です。じゃなくて22よ。」
「ってことは船長より2つ下かー。」
「なぁなぁ。ミーシャは・・・」
武器が片付くとクルーたちはミーシャを質問攻めにしていた。
ローはそんなクルーたちとは違い1人操舵室へと戻っていくペンギンを見ていた。
「あいつは心配しすぎだな。」
クスリと笑った後、未だにミーシャを取り巻くクルー達を一括した。
「お前等。そろそろ持ち場へ行け。」
船長のその一言にクルーたちはそそくさと持ち場へ戻りミーシャの近くにはローとベポだけになった。
「ベポ。こいつに船内の案内をしてやれ。」
「アイアイ。キャプテン。」
ローはベポにそう言うと一足先に船内へ消えていった。
「じゃあ行こう。」
「う、うん。よろしくねベポ君。」
「違うよ。ベポでいいよ。俺、皆からベポって呼ばれてるし俺もミーシャって呼ぶからさ。」
「分かったわ。じゃあ、よろしくベポ。」
ミーシャはモフモフしたベポに手をひかれ船内案内が始まった。