君と共に

□第二話 客人を乗せて
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船の中を一通り説明してくれたベポの話をまとめると
・ベポ、ペンギン、シャチは結成当時からのメンバーで個室があること後のメンバーは共同の部屋での雑魚寝。

・風呂は共同で船長室のみ風呂がある。

・コックが乗船していること。

コックがいるのはローが船員達の栄養状態を考え健康に航海ができるようにということらしい。

「ここが最後ミーシャの部屋だよ。」

「え?皆と雑魚寝じゃないの。」

「あほか。ないとは思うがお前は女だ。用心にこしたことはない。」

「昨日皆と掃除したんだよー。」

失礼なローの発言は無視し、ミーシャはベポの言葉に驚いた。
昨日はまだ乗船すると返事はしていなかったのだ。
ベポ達のローへの信頼というのか、ローの強制力というのかミーシャは苦笑した。

「荷物を置いたら船長室へ来い。」

ローはそう言うと部屋を出て行った。
ベポも仕事へと戻っていき、部屋にはミーシャ一人になった。
部屋には質素なテーブルとイス、ベッドに小さなクローゼットのみだったがミーシャには十分だった。

「絶対に見つけるからねルーナ。」

ぼそりと呟くと持っていたカバンを机におき部屋を出た。

「船長室って隣じゃない。」

信用されてないなぁと思いながら扉をノックした。

「入れ。」

部屋の中からローの声がする。

「失礼します。」

海賊とは言えこの船の船長なのだからとミーシャはお辞儀をした後部屋へ入った。

「何でしょうか?」

「くくく。ベポから聞いていると思うがここは共同浴場だ。だから風呂はこの部屋のを使え。」

「え?皆が入った後を使わせてもらう・・・のでいいです。」

ミーシャの返事にローはため息をついた。

「さっきも言ったがこの船には女はあんた一人だ。ないと思うが用心はした方がいい。」

「貴方さっきからちょいちょい失礼よね。」

「くくく。やっぱりあんたは敬語は似合わない。
お辞儀もなにもしなくていい。その方があんたらしい。」

最初笑ったのはそれが理由か。

「分かったわ。じゃあそうさせてもらう。」

ミーシャがそう返事をするとローは椅子から立ち上がり、扉の方へ歩いていった。

「何処か行くの?」

「あぁ。あんたも来い。」

何処に行くとは言わずにローは部屋を出て行く。
ミーシャも後を追う。
歩いて行った先は操舵室だった。

「入るぞ。ペンギン。」

声はかけたものの返事もまたずにローは扉を開け部屋に入っていた。

「船長。ここは操舵室ですよ。大事な部屋に・・」

ペンギンが言おうとしていることが分かったミーシャが部屋を出ようとするのをローが止めた。

「こいつにそんな危険はない。」

しばらくの間ペンギンとローは無言で睨み合った。

「船やクルーを大事に思うのは分かるがお前は心配しすぎだ。」

ローはそういってため息をつき、ミーシャの方へ振り返った。

「あんたがカルジャ島へ行きたい。いや戻りたい理由をここで話してくれ。」

ローは最初からこのつもりでミーシャを連れてきていたのだった。

「そうね。船に乗せてもらうんだもの。話すわ。このきっかけは私の双子の妹ルーナの事からよ。」

茶色の長い髪を耳にかけミーシャは話し出した。
これまでの事を・・・。
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