君と共に

□第二話 客人を乗せて
3ページ/3ページ

「私とルーナは二人でカルジャ島に住んでいたわ。」
ミーシャは思い出す様に少し上を見上げ話し出した。

私たちの両親は海軍だった。
父は私たちが生まれて間もなく事故で亡くなり、それから数年後海軍を辞めた母と母の故郷カルジャ島へ来たの。

銃や剣などは母から教えられたわ。
この世界何があるか分からないから自分を守れる様にってね。
少し話がずれたわね。

ルーナも同じように育ったけど体術などは上手くなくて変わりに絵がとっても上手だった。
でも、それが駄目だった。
5歳だったかなルーナは一人で絵を描いている時知らないおじいさんに出会い絵を褒められ、ある果物をもらって食べてしまった。

もう分かるでしょ?
それは悪魔の実だった。
ルーナは「モノモノの実」の能力者よ。
モノモノの実は絵に描いた物を実物化出きる能力があるの。
もちろん紙に書いているから水や火に弱いけれど見た目、形は本物そっくりに作れるわ。

母が亡くなり二人で暮らすようになって生活は大変だったけど支えながら生きていた。
半年前までは。
半年前、私たちの前にルーナに悪魔の実を与えた男と一緒に新しくカルジャ島に来た海軍の大佐が現れたわ。

大佐はルーナに能力の活かした仕事をしてほしいと言ってきたわ。
何の仕事か分かる?

ここまで話すとミーシャはポケットからお札を出してきた。

「これの1ベリー2枚の違いが分かる?」

そういってロー達に渡した。

「・・・紙質は違うが見た目は同じだな。」

ローは紙質を確かめるように触りながら答えた。

「海軍がこれを?」

ペンギンもローと同じように確認しながら驚いた。

「海軍自体がやっているかは分からない。島に来た大佐は正義なんて無かったわ。」

少し悲しそうにミーシャは再び話し出した。

母はね。昔起きた事件をきっかけに海軍の掲げる正義に疑問を感じて海軍を辞めたの。
私たちにもいつも言ってたわ自分の思う「正義」を大切に生きなさいって。
そんな母は私たちにとって偉大で尊敬できる人だった。

そんな両親がいた海軍を私たちは信じていたんだと思う。
ルーナは仕事を引き受け、次の日から彼等の元で仕事した。まさか偽札を作らされる為とも知らずにね。

仕事に行くにつれルーナは元気がなくなっていったわ。
何を聞いても教えてくれなかった。
ようやく聞き出したときルーナは震えていたの。
次の日からは風邪を引いて熱があるって嘘を行って仕事を休ませたけれど、それにも限界がある。
だから私たちは島を出ようって決めたの。
ここまでがカルジャで起きた話よ。

何とか海軍に気づかれずに知り合いの商船に乗せてもらえるようにして、私がルーナの姿になってルーナが私の姿になって商船に行くことにしたの。
そうしたらルーナへの危険が少しでも減るでしょ?

家も先にルーナを出して、その後少し時間を空けて私も出たわ。
商船で落ち合い逃げるはずだった。

「だが、あんたの妹はいなく一人この島まで来たってわけか。」

「そうよ。後は貴方達が知っている通り。カルジャに戻ってルーナを探すわ。大佐ノヴが秘密を知っているルーナをほっとく筈がない。」

ミーシャの顔は真剣で嘘を行っている様にはみえなかった。
ペンギンも静かに聴いていた。

「・・・カルジャ島には2、3日で着く。それまでゆっくり休むといい。」

ペンギンはミーシャに言うと海図を見るように背を向けた。

「ありがとう。ペンギンさん。」

「さん付けなんてしなくていい。」

「そう言うことだ。もう夜も遅い。食堂で飯食ったらすぐ寝ろ。」

ローはそう言うと食堂の方へ行くように言った。

「ペンギンさ・・・ペンギン達は行かないの?」

「後で行く。さきに行っててくれ。」

「そう?じゃあ先に行くわね。」

ミーシャが出ていったの確認するとローは口を開いた。

「これで少しは安心したか?」

「敵意がないのは分かりました。海軍をよく思っていないことも。次の島までですからね。」

「くくく。あぁ、そうだな。俺達も食堂へ行くか。」

不器用だと大変だとローは思いながら食堂へ向かっていた。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ