君と共に
□第四話 始まりの島
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「ん・・・私。どうしたんだっけ。」
確かペンギンに言われて部屋に一人でいて・・・
そこまで考えるとあとの事がはっきりと記憶から蘇り顔が赤くなった。
人前でなんて泣いたのはいつぶりなのだろう。
海軍に母がいたため気がついたときにはいつも気をはりルーナを守ってきた。
あの人は私を守る、一人じゃないと言ってくれた。
その事がすごく嬉しかった。
例えカルジャで別れる事になると分かっていてもそう言ってもらえるのは初めてで心強かった。
だからこそあの人には近づかない方がいい。
本当の独りになった時より濃い闇が訪れる気がするのをミーシャは感じていた。
「今何時なんだろう。」
ローにどんな顔をしてあえばいいのか分からないまま部屋を出た。
窓から見える空の色はオレンジで夕方なのだと分かる。
数時間寝ていたのだろう。
海軍には見つからずに済んだのだろうか。
とぼとぼと歩いてると目の前に白いふわふわした影が見えた。
「ベポー。」
思わずその背にミーシャは飛び込んだ。
「うわ。びっくりしたー。ミーシャ起きたんだねー。俺も皆も心配してたんだよ。丸一日も寝てたんだから。」
「え?丸一日?」
ベポの言葉に驚いたミーシャは食堂に向かいながら話を詳しく聞くと。
眠ったのは昨日の15時位でそこからぐっすりと眠っていたらしい。
「そっか。ごめんね。心配かけて。」
「ううん。船に慣れないのはよく分かるから大丈夫だよ。」
どうやらローはクルーには船に慣れずにと説明をしたらしく、ミーシャはが泣いたことや震えていたことなどは伏せてくれた為ミーシャはホッとため息をついた。
「みんなー。ミーシャ起きたよー。」
食堂に入るとベポは大きな声で言った為食堂にいた全員が振り返った。
視線が痛くミーシャは俯いた。
「おー大丈夫かよ。」
出るのは心配言葉ばかりでミーシャは目頭が熱くなった。
「みんな・・・ありがとう。」
そう言って笑顔をみせるミーシャの顔はどこかすっきりしていてた。
笑顔はこれまでにも見てきた筈なのに今日のはとても美しくクルー達の顔が赤く染まる。
「・・・もう調子はいいんだな。」
食堂の奥を見るとローとペンギンが座っているのが見えた。
どう返事をしたらいいのか迷っているとベポがそのまま二人の前の席までミーシャをひっぱっていた。
「えっと・・・いっぱい寝てすっきりしました。」
「くくく。そうか。」
ローはそれ以上言ってこなかった。
「ミーシャ。迂回したことで海軍との戦闘は避けれた。明日の昼には着く。」
「分かった・・。ありがとう。」
いよいよすべての元凶始まりの島カルジャにつくんだ。
「心配すんな。街までは俺も行く。ログは24時間なんだろ。」
ミーシャの考えが読めるかのようにいうローの言葉にミーシャは嬉しくなった。
「ありがとう。」
そんな二人の変化にペンギンは内心驚いていた。
特にミーシャはローに対して壁を作っている感じがしていたのだが、いったいいつの間にこんなに雰囲気が変わることがあったのだろう。
これは吉とでるか凶とでるか。
次の島で降りるミーシャと変わり始めている自身に気付いていないロー。
これはハート海賊団にとっても新たな始まりが生まれるのではないかとペンギンは考えながら二人を見守っていた。