君と共に

□第六話 渦巻くもの
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「島が見えたぞー。」

クルーの声が船内に響く。
カルジャを出て初めての島。
ミーシャがハート海賊団のクルーとなって初めての島は無人島だった。

「なんもねぇなこの島・・・」

何を期待していたのかシャチはがっくりとうな垂れる。
他のクルー達も特にやることがないのか船内でポーカーなどをやっている。
まぁ無人島なのだからやることがないのは仕方ないことなのだが。

「ペンギン。ログはどれ位で溜まりそう。」

「正確にはわからんがそう遅くはならんだろう。」

ペンギンとミーシャがそんな会話をしているとローがやってきた。

「この島は珍しい植物が多い。探索に行くが来るか?」

「俺はログが溜まり次第出航できるよう船に残ります。ミーシャはどうする?」

「そうね。私は行こうかな。特にすることもないし。」

そう行ってローについて船を降りると既に数名のクルーがいた。

「ミーシャも行くのー?」

「うん。ベポも行くんだね。」

「うん。無人島で珍しい植物がある時は俺大抵キャプテンについて行くよ。ここは秋島だからそんなに辛くないし。」

そんなことをしゃべりながら島の奥にどんどんと入っていくとクルー達も慣れているのか植物を採取していく。

「ロー。これは?」

「それは取っておいてくれ。そっちのはいらんな。」

ミーシャも皆に習って珍しそうな植物を見つけるとローに確認を取っていた。

「ねぇ。ベポ。」

少し離れたところで植物を採取していたベポの元にミーシャは近づき一緒にかがむと内緒話をする様に小声で話しかけてきた。

「んーなあにミーシャ?」

「何かロー変じゃない?」

「キャプテン?いつもと変わらないように感じるけど・・・どこが変なの?」

「んーそう聞かれると説明しにくいんだけど。何だが変な感じがする。」

まだ一緒にいる時間も短いのだから気のせいかもしれないんだけど・・・・
と自信なさげにミーシャは言う。

「俺にはわかんないな。けどミーシャが気にすることじゃないと思うよ。」

「そうかなぁー。まぁ深く考えないようにするね。ありがとうベポ。」

そう言うとミーシャは自然にベポから離れていき植物採取に勤しんだ。
ある程度植物を採取した面々は船に戻り、ローは再び部屋に篭っていた。


部屋に戻ったローは集めた薬草を乾燥させる準備をしていた。

『ミーシャをどうもってるか考えてください。』

慣れた手つきで身体は勝手に動くのに、頭の中には昨日ペンギンに言われた事がこだまする。
興味があった。
海賊に襲われた島に行きたいというあいつに。
ただそれだけだった。
じゃあ今は何だ。
船を出すのを遅らせあいつを助けに行ったのは何故だ。

今日だってそうだ。
薬草を採りに行くことをペンギンに言いに行ったらあいつがいた。
昨日のことなどなかった様な態度のペンギンと楽しそうに会話しているあいつを見るとイライラした。
そんな俺から出た言葉に俺自身が驚いた。
それすらも分かっているかの様なペンギンに怒りを覚えたが・・・これはなんだ?

「嫉妬・・・」

ふと漏れた言葉は自分の口から出たのに他人から聞いたような感覚だった。
嫉妬それならあのイライラにも納得がいく。

あぁそうか俺は・・・
気付いてしまった。いやペンギンに気付かされたと言うべきか。俺はミーシャに好意を抱いていたんだ。
それは俺には縁のないものだと思ってた。
だか、何故だろう。それを理解した俺の気分はとても晴れやかな暖かい気持ちになっていた。
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