掃除屋少女の非日常
□T
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『おぉー……近くで見たらさらにでかい。1回でいいからこんな家住んでみたい。』
絶対的に場違いな声を出しながらゆっくりとドアノブを回す。
開かない、のは当たり前か。
鍵を壊そうと力を込めて回すとバキッと音をたてて扉が開く。
『よし、じゃあ行くか。』
中には先ほどと同じような男が十人ほどいた。素早く男達の首をはねると奥へ進む。
『シャンデリアがある。こんな家に入るの5ヶ月ぶりー…ん、半年ぶりか。』
独り言を呟きながら廊下に現れるボディガード的な男達、執事やメイドらしき者達の首を次々とはねていく。もちろん、声を立てられる前に。
『広いけどわかりやすい造りだなぁ。これなら殺し漏れとかなさそう。』
この家の主に感謝しながら歩いていると、他の部屋よりも装飾が少し豪華な扉を見つけた。
………ここが、この屋敷の主の部屋か……?もしくはターゲットの部屋……。
こんなにも早く仕事が終わっていいのかと思ったが、この屋敷の奴等は全員殺さなくてはいけないんだから、正直いつ来ても同じだった。
取りあえず中に入ろうと、ドアノブを静かに回して扉を開ける。
が、そこにはベッドも主らしき人物もいなくて、男が二人いただけだった。
『………なぁーんだ。』
ちょっと腹が立ったから、紛らわしいんだよ、と呟きながら先に二人の口を素早く布で塞ぎ、ポケットから取り出したスプーンで綺麗なおめめをくり抜いてから頭蓋骨を砕いてやった。
ちょっと理不尽だったかな。ま、たまにはこういうのも悪くないよね。
あの後も次々と現れる部屋に必ず入り、中の者を始末していくが全て使用人ばかりだった。
『ハァ…、いつになったら本命がくるんだ?』
あきあきしながらも進んでいると、これまでよりも豪華な扉が現れる。部屋の前の男二人を殺し、扉を見つめる。
さっきの謎の部屋も綺麗な扉だったけど、ここまでじゃなかった。それに、今までと違うのは部屋の前に人がいたことだ。つまり、
『…ここ、か。』
そう言い、静かに扉を開ける。そこには一人の若い男が眠っていた。
んー、ターゲットは女なんだけどなぁ…。この人はこの家の主人か。…まぁ、諸々聞けば分かるよね。
男の肩を揺すると徐々に目が開き、そのうち意識がはっきりしてきたのか目を丸くした。
「だっ、誰だ君は!?………もしや、彼女の追っ手か!?」
『追っ手?…まぁそんなもんか。そんなことより、お兄さんの言ってる彼女ってこの人?』
そう言ってあの書類を男に見せた。
「あ、あぁ、そうだが、君は一体……。」
ぷふっ、パニクってあっさり言っちゃってんじゃん!死亡フラグ乙。
ニヤけそうな顔を引き締めて、改めて男に問う。
『ok。じゃあ、この家の間取り図的なものある?』
「はぁ?君は誰なん『早く答えないと殺しちゃうよ?』!!! わ、わわわかった!わかったから殺さないでくれ!」
言いながら銃を首筋に当てると、冷や汗をかきながら懇願する。
ま、こんなもん使わないけどね。
『じゃあ、早く答えて?』
「あ、あ、新しい使用人に渡す地図ならあるっ!」
『うん、それでいいよ。早く出して?』
そう言うと男は血相変えて机の引き出しを漁りだした。
必死じゃんww クソワロタ。
「こ、これだ…っ。」
『わぉ、完璧じゃん♪んじゃ、あの女はどこにいる?』
「…………………………………来客用の部屋だ。」
目を見る。嘘は吐いていないようだ。
うわぁぁぁ、自分の命可愛さに女を差し出しちゃうかぁぁ。ウケるww
『おっけー。協力ありがとね♪』
「き、君は…っ、一体彼女に何をするつもりなんだっ!」
いやいや、だいたいわかってんだろ。うっざいな、こいつ。なんか、男なのに悲劇のヒロインっぽくて、さ。
『……教えて欲しい?』
「あ、あぁ。」
『んなことてめぇの胸に聞け。』
言うと同時に私の右手が男の左胸を貫いた。男が恐怖に満ちた目でこちらを見る。
「ど、うし…て……。」
『私、殺さないなんて一言も言ってないよ?』
それに、
オシゴトデスカラ、ネ?