掃除屋少女の非日常

□T
1ページ/4ページ











今日の仕事は顔馴染みの金融会社社長からの依頼。借金の返済期限を過ぎた馬鹿共(社長曰く)の滅殺。【ぶらっくりすと】とかいうやつらしい。30件もあったが、ほとんどが手応えのない奴等だったので29件までは一時間程度で終わった。今は午前1時03分。家々を屋根づたいに走りながら目的の場所を探す。




『最後は…………あそこか。』




150m程先に見えるのは巨大な屋敷。まさに豪邸の名に相応しい。

こんな家の住人が借金を返済できないなんて……何かの間違いじゃないのかな?




『でもメモにはあの家って書いてあるしな……。そうだ、書類もらってたんだ。見てみよう。』




屋根の上で腰につけている黒色の立方体のキーホルダーを外す。




『四次元からの使者(フォーディメンションズ・メイト)』




元の大きさに戻して蓋を開け、中から書類を取り出した。紙束から一番最後のページだけを取り、顔写真と名前を確認。

他にも色々書かれていたが、これは彼女を殺すときのお楽しみに……いや、こんなこと言ってたら殺人狂みたいだ。

ニヤつく口元を抑えながら文面を目で追う。あ、あった。

なになに、本来の家はリンゼイ。現在はこの屋敷で保護されている…か。




『なるほど、そういうことねぇ。さて、疑問も解けたし……殺りますか。』





門の前には黒尽くめの男が4人、門の奥には……ざっと30人かな。今日が、っていうか昨日が期限だって知ってるな。ま、いいか。荷担した奴らも全員殺せって言われてるし。




『面倒なことは全部しゃちょーさんが何とかしてくれるって言ってたしね。』




屋根から飛び降り、門へと近づく。残り50m、40m、30、20、10、0。




『こんばんはー。』




黒尽くめ1に挨拶をする。大事だよ、挨拶。

そんな爽やかな私の挨拶にバッと振り向いた黒尽くめ1、2、3、4。笑顔の私とは対照的にこちらを睨みつけてくる。

あー、怪しまれちゃってる感じですか?ま、そりゃそうですよねー。

両手をひらひらさせながら近づく私の前に仲間を守るように黒尽くめ1が立ちふさがり、口を開いた。




「お前、こんな時間に何の用だ。」




『んー……お掃除?』



ザシュッ




言うと同時に、手刀で男たちの首をはねる。そして、やたらと高い門の上に飛び乗った。




ごめんね、でもお仕事だからさ。それに、私偉そうに見下ろされるの嫌いだから☆




『あれ、30人位かと思ったら50は軽くいるな…。叫声とかあげられて、中の奴らに気付かれたら面倒だし…。しょうがない、あれ使うか。』




一発で皆死んじゃうから、あんまり好きじゃないんだけど、と呟きながら地面に降り立つ。数人の男がこちらに気づいた。




「何者だ!どこから入っ『地獄の案内人(ヘル・シーカー)』





両手に大刀が一本ずつ現れる。男たちに向かってそれを振るうと、残撃が次々と彼等の首を刈っていく。残撃が消えたあと、庭には静寂だけが残された。




『これでよし。ハハッ、即席レッドカーペット、ってね。』




血に染まった死体の中を、クツクツと笑いながら屋敷に向かった。










次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ