私はいたって平凡だった
特別美人でもなかったし、特別不細工というわけではなかった。
飛びぬけて上手いことは正直言ってなかったと思う。
言うならば、少し・・いや、かなり漫画に興味があった。

人とかかわるのは少し苦手だったがいたって平和な生活をしていたと思う。

そう平和だったんだ





















「うふふふ・・・」

目の前に広がるのは知らない女と、赤い何か
グサリ、グサリと女は何度も何度もも赤に染まったナイフで私を刺していく。

あぁ、無理して近道なんて行かなければよかった。
ニュースで通り魔のことなんて知ってたのに。
自分は大丈夫って思ってた数分前の自分を殴ってやりたいよ。そんな自信どこからくるんだって。

恍惚とした笑みを浮かべて、女の顔に血がとぶのも気に止めずに、、私を刺さすのに夢中になっている女。


狂ってる、その言葉が無意識のうちに口からこぼれた
女は聞こえてないとでも言うように、動きを止めない
こんなに刺されては、私も長くはないだろうなぁ・・
まるで、他人事のようだ

口の中にたまる鉄の味がするもの、血がたまって気持ち悪い


目の前が、ぐにゃりと歪む


もう完全に見の前は見えない

不思議と死に対しての恐怖心はなかった。

お父さんお母さん、弟 、そして友達。
沢山迷惑をかけてごめんなさい。
一緒に遊びに行こうって約束、守れなくてごめんね。
親より先に逝く私をどうか許してください。
私の分までどうか幸せになって下さい。
ここで死んでしまうのは嫌だけど、私はちゃんと幸せでした。
そして、私を愛してくれてありがとう。





私の人生最後に聞こえた声は、女の満足したような笑い声だった。

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