夢小説

□柏餅/柏木
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「どうぞ」
「あぁ、ありがと……おっ柏餅か」



柏餅





トレイに柏餅をと焙じ茶を2つずつ乗せ、茶の芳ばしい香りと共に柏木の仕事部屋へ入ってくる

「もう5月だったな」
「折角なので買ってきました。少し休憩してください」

柏木はデスクに散らばった書類をまとめ、簡単に片付ければ大きく伸びをする。
その様子を見てなまえは微笑みながらサイドテーブルにトレイを置き、デスクのあいた箇所に湯飲みを置きく。
次いでこっちが味噌餡で、こっちが漉し餡ですと皿を差し出し半分に切られた二つの柏餅を指差す。

「折角なので、半分ずつに切ってみました。」
「なまえがどっちも食べたかっただけだろ?」
「うっ……だって、どっちも美味しいですし…」

確かなと笑いながらお茶で喉を潤し、大きく息を吐く。
彼女がいるだけでこれほど癒されるものかと改めて感じつつ、さっそく一切れ手に取り口に入れようと葉を外すと



「柏木さん…葉っぱ外すんですか?」
「はぁ?柏餅の葉は硬くて食えないだろ。元々子孫繁栄の意味を込めた縁起物であって…」
「………」
「まさかなまえ、食べて…」

ふとみればなまえの食べかけの餅は餅と共に葉も欠けており。
それを見て柏木は堪えきれず吹き出し笑い出す。


「そっそんなに笑わなくてもいいじゃないですか!桜餅は食べますし!」
「あれは、香りを移すためのものだ。まさか、柏の葉を食べる奴がいたとはな」
「もぅ!」



暫く柏木は笑い転げ、餅を食べるどころではなかったのは言うまでもなく。
なまえはと言えば本来の柏餅の美味しさに気づくのだった。

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