夢小説
□ネイル/峯
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「なまえさん?」
「あっ、お帰りなさい」
ネイル
帰宅した峯の鼻を独特のアンモニア臭を微かにとらえる。
リビングへと歩を進めればカーテンが揺れており、窓の前ではベランダに向かってなまえが何やらうずくまっている。
「ネイルですか?」
「…すみません、峯さんが帰ってくる前に終わらせるつもりだったんですが、久々で……臭いますよね?」
塗ったばかりのマニキュアを乾かすため手をパタパタさせたりフーフーと息を吹きかけながら峯の方へ振り向く。
しかし、短パンでしゃがみ込むような体勢のなまえに否が応でも視線はそちらへ向く。
「なまえさん、ジーンズなどでは座りづらい、スカートでは下着が見えてしまうというのはわかりますが……ショートパンツでその体勢は誘っていると受け取っていいんですか?」
「え?…ッ!」
指摘を受け自分の体制を見れば、峯から見てどう見えるかは容易に想像ができ、慌てて足を倒し横座りをする。
溜息を吐いてジャケットを脱ぎネクタイを外せば、それをソファにかけてなまえに近づく。
「その格好と言うことは足も塗るのでしょう?」
「そのつもりだったんですが、峯さん帰っていらっしゃいましたしまた今度にしようかと」
「塗ってあげますよ」
え?と声を上げた時にはペディキュアのボトルはなく、自分の後ろから峯に抱き締められるような体勢になっており、早速と峯はボトルから刷毛を出している。
「ちょっちょっと待って下さい!大丈夫ですから!それに普通向かい合ってやるんじゃないんですか?」
「…下着が見えてもいいならそうしますが」
「…」
峯にやらせないという選択肢はないようで、下着を見せるわけにもいかないので大人しく言うとおりに従うのだが。
「なまえさんの足、綺麗です……爪も」
「あっあの…」
「動かないで下さい。指に付いてしまう。」
わざとなのか、その方がやりやすいからなのか峯の唇がなまえの耳元に触れ、普段の冷静な声ではなくなまえの体中をくすぐるような低く甘い響きで囁かれる。
息がかかる度、なまえの体は反応してしまう。
わざとそうされてると思いつつ止めてくれと言えず、その甘美な時間に永久に浸っていたいとそう思うのであった。