夢小説

□香水/秋山
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「あれ、香水?」
「あっはい・・・友達に貰ったんです」



香水



「いい香りでしょう?」


満面の笑みを浮かべながらのなまえに、表情を一瞬曇らせながらもそうだねと秋山も同意する。
初めて香水をつけたということで気分も上がったのか、いつも以上に洋服にも気合が入っているようで。
上機嫌でもらったという香水の話を秋山にするなまえ。
それをうんうんと頷きながらも、落ち着きなく周囲を見回し何かを頻りに気にしている様子の秋山。


「秋山さん?」
「ん?何?」


それに気づいてなまえはやっぱり・・・と歩みを遅め俯く。


「なまえちゃん?どうかした?」


急に歩くスピードの落ちたなまえの様子に具合でも悪くなったのかと心配そうに覗き込む


「いえ・・・やっぱり私なんかに似合いませんよね、香水」


実は自分で香水を買ってみたのだった。
甘すぎず爽やか過ぎない自分がつけていてもおかしくない香水のつもりだった。
今日着た服にしてもいつもより露出を大目にし、少しでも秋山と並んでいてもおかしく無いようにしようとなまえなりの努力だった。
しかし隣に並ぶ秋山自身が気に入らなければそれまでで。
なまえは単なる自分の空回りに終わってしまったとやるせない気持ちに襲われる。

「うん、やっぱりわかってなかったね」
「え?あの・・・っ!秋山さん!?」

秋山が何を言っているのかさっぱり理解できないまま、腕を引かれ足早に人ごみを掻き分けていく。


「秋山さん!待って!!」

声をかけるも自分の声に聞く気配が全くない秋山に、そんなに似合わなかったのかと歩が進んでいくと共に不安も積もっていく。
引っ張られるままにしばらくすればたどり着いたのはスカイファイナンスのビルで、階段を駆け上っていく。
事務所の鍵をさっと開ければ、流れ込むように入り、なまえをソファーに突き飛ばし座らせる。
ソファーに右膝をつき左手を背もたれにかければなまえの逃げ道を塞ぐ。



「秋山さん急にどうしたんですか?何か食べに行くんじゃ・・・」
「なまえちゃんさ、香水って人を魅了して意識させる効果があるの知ってる?」
「え?それって」
「みんながなまえちゃん見てたの気付いてないでしょ。いつもならもっと露出も少ないのに、気が気じゃなかったんだよ?」


顔を近付けると、なまえの首筋に啄むように口付けをする。
その甘くくすぐったい感覚に体を震わせ縮こまる。
なぜなまえがそんな事をしたかは大体の予想がついている。
その努力は秋山としては嬉しいものの、あれだけあからさまに男共の視線が集まっては彼氏として落ち着くわけがなく。



「俺がなまえを見てるだけじゃ足りないの?他の男にも見られたいの?」
「ちがっ、そんなんじゃ」
「見られて興奮するタイプ?そうなら言ってくれればいいの」
「ゃ・・・ちがっ・・」



秋山はなまえからの香りを一人で堪能するかのように、首筋辺りから体中の匂いをかぐ。
秋山の鼻や唇が滑る度体の芯から痺れるような感覚に襲われるのであった。

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