夢小説

□舌/峯
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「だっダメです!」
「何故?」










疲労しきった状態で帰宅した峯を迎えたのは、キスを拒む彼女だった。
恥ずかしがりながらもいつもの日課を拒まれるといくら峯でもショックの様子を見せる。
深い溜め息を一つ吐いてから、ネクタイを緩めながらバスルームへ向かう


「あっ…いえ、嫌なんじゃなくて……」
「…先にシャワー浴びますから」


そう一言告げれば、バスルームの扉を閉める。
スーツを脱いで適当に投げ捨て、バスルームに入りシャワーのコックをひねる。
頭からお湯をかぶりながら、なまえに拒まれた理由を必死に頭の中で巡らせる。

しかし、特に思い当たる節もなく考えれば考えるほどどつぼにはまっていくようで。


「女の香水でもついていたか?」


確かに今日の取引相手の女の香水が鼻についたことを思いだしつつ。

なまえが準備したのか湯船にはお湯がためてあり、峯自身となまえお互いが気に入っている入浴剤が入れてあった。
折角ならばと湯船に入り天井を仰ぐ。
ふと控えめなノックが聞こえ


「……峯さん、着替え此処に置きますね」


となまえの声が聞こえてきた。


「えぇ、有り難う御座います。」
「峯さん………開けても…いいです、か?」


か細くて、一瞬空耳かと思うほど小さな声で予想外の言葉が聞こえてくる。
特別拒む理由もない上、初めてのなまえの申し出に、どうぞと答え髪をかきあげる。
パタンとゆっくりバスルームの扉が開き、申し訳なさそうにこちらを見るなまえが視界に入る。


「あの、さっきは…ごめんなさい」
「……」
「峯さんとキスはした、いんですが…その……ベロに口内炎ができちゃって…」
「口内炎…?」


峯の方へ舌先をベーと出せば、確かに小さな白い出来物が見える。
それを見て、拒んだ理由に納得しつつもフッと口元を緩め口角をあげ、不適な笑みを浮かべる。


「舌に口内炎が、出来てもキスはできますよね?なまえはもう舌をいれてのキスが、前提ということですか?」
「っえ!?いやっ、そう意味じゃ!」


湯船から上がれば濡れたままなまえをバスルームに引っ張り込み腰に手を回す。
見る見る内になまえの洋服は水分を吸収し、峯となまえの体に張り付き始める。


「いやっ…峯さん?ちょっ……んっ!」


無理矢理、指を差し入れて舌を軽く引っ張り出すと、口内炎のできている部分を避けて指の腹で撫でる。


「舐めると治りが早いと聞きますが…試しましょうか。」
「んー……」



そのまま、距離を更に縮めれば自分も舌を出し、なまえの口内炎を舐め出す。
風呂の蒸気と峯の愛撫にも似た行為になまえの体はどんどん熱を帯び、溺れていくのだった。

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