夢小説

□プレゼント/峯
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「いりませんから」
「それでは俺の気が済みません」



プレゼント




仕事が休みだというので、峯の家に遊びに来たのだが。


「好きなものを、選んで下さい。全部ほしければ差し上げます。」


ブランドものに疎いなまえでさえ知っている有名ブランドの大小様々な箱が広いリビングにこれでもかと、ズラッ並べられている。
その光景に呆気にとられ目を丸くパチパチさせ、凍りつく。


「あの…」
「以前ほしいと言っていたでしょう」
「え?」


言っていたといってもたまたまブランド街を通った時にウィンドウに飾られていたバッグが可愛いなぁとか、テレビに映ってたバッグのデザインがいいなぁなどと呟いた程度で。


「あの、なんでこんなに…」
「あなたとの約束を、何度となくキャンセルしていますから」


折角なので、手近にあった箱を開けていくつか中身を見る。
確かにどれもなまえが気に入るようなデザインである。
とはいえ、こんなに貰うわけにもいかない。
かといって返品しにいくのも峯を傷つける上面子にも関わるだろうと


「峯さんの気持ちは嬉しいですが、今度からこういうことしないで下さい。どうしていいかわからなくなっちゃうので。仕事は仕方ないですから気にしないで下さい。」
「わかりました。ですが、それでは俺の気が済まない」
「えっと…だったら………」


なまえは、少し頬を赤らめて俯けばチラチラと峯の方を見てから近づき、峯の服を掴みながら背伸びをして唇を相手の唇に触れさせる。



「きっキス、して下されば…それで……」
「……」


こちらから言い出さなければほとんどされることのない、なまえからの不意のキスに目を見開いて。
真っ赤な顔を俯かせるなまえの顎をすくい。


「随分言うようになりましたね」
「いや、だって…」
「なら、今までキャンセルした分きちり償ってやる」



なまえを軽々と抱き上げれば、大量の箱を跨いで寝室へと歩を進める。

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