黒子のバスケ長編

□第一章 入部
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「ラグビー興味ない!?」
「将棋とかやったことある?」
「日本人なら野球でしょー!」
「水泳!!チョーキモチイイ!」
「…っさいな」

私立誠凛高等学校。
去年できたばかりのこの新設校に入学して二日目。
朝早いにもかかわらず、二年生が部活勧誘をしているようだった。
だが、その声達は今の僕にとって集中の妨げにしかならなかった。

読んでいた本から顔をあげ、周りを見渡す。

「っとに、どこ行ったんだよアイツ」

アイツ、というのは僕の一応の幼馴染のことだ。
影がかなり薄く、毎度目を離すとすぐにどこに行ったか分からなくなる。
長い付き合いのため、僕にはアイツの気配は分かるが、少し遠くに行ってしまうとこれだ。

まぁアイツのことだ。

やることは、一つ。

きっと、バスケ部の入部申請とこに、先に行ったんだろう。



バスケ部の入部届けを出す所に行くと、赤と黒の髪の、虎みたいな奴が帰って行くところだった。

アレもバスケ部に入るのか…。

少し、似ているな。アイツの元相棒に。

「あの〜、ちょっといいですか?」
さっきの虎をみて、ボーゼンとしていたマネージャーらしき人に話しかける。
「…あ、ごめん!どうぞどうぞ!」
そう言って席を正してくれ、お茶を出してくれる。
「入部希望?」
「いや、僕はマネージャー希望です」
そう言って書いた入部届けを渡した。
「白姫、雪弥君ね。バスケ経験はありっと。出身中学は…帝光!?」
「まあ、一応」
驚くのも無理はない。

僕らの代に、帝光中学校では"5人のキセキ"が現れ、無冠を誇っていた。
中高のバスケ部員で知らない、と言う人は殆どいないだろう。
まぁ、その5人の他にも"幻の六人目"がいたり…


僕がいたりしたのだが。


「まさか、経験ありって…選手だったとかは…?」
「かな〜り前の過去の話ですけどね」
驚いたような顔で此方を見てくるマネージャーらしき人に僕は苦笑いした。
そして、ふと机の上の回収し忘れている、一枚の入部届けを見た。


「…僕なんかよりも、こっちのほうが面白いですよ」





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