03/12の日記

14:58
act 2 狂宴のセプテット(杏仁)
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「誰かいねーんですかー」

乾ききっていた喉を唾液で無理やり濡らし、エリオが屋敷の繊細な装飾がなされた扉をたたく
もともとは殴り込みに来たのだが、夜の静けさと抑え込んだ恐怖が彼女を冷静にさせていた
もし、仮にカルトが捕まっているとするならここで自分が暴れればカルトがどうなるかわからない
それは…それだけは嫌なのだ

エリオは無言のままで扉をにらみつける
そしてもう一度叩こうとしたところで重い音とともに扉が開いた

「はーい、どなた様?」
「おやおやこんな夜更けに…何かお困りですか?」

出てきたのは幼い顔立ちの少女と少年、という枠組みをほんの少しだけ抜けた青年だった
来たのが昼間なら屋敷の外観も相まって華やかに見えたであろうその姿はいまはどこか恐ろしささえ感じさせる

「あんたらが人形師?」

「いえいえ、僕たちはただの使用人」
「僕がクリアでこっちがレンだよ♪」

にっこりと笑って答える二人の口調はまるで台本を読んでいるかのように淀みがない

「あ、そ
僕はエリオ
今日のパーティに呼ばれた
とりあえず人形師に合わせろ」

「…主のパーティに…
それではあなたが」「きょうの『客人』!?♪」
「お待ちしておりました
…どうぞ中へ」

その言葉とともに扉が大きく開かれエリオがはいれるようになる
外とは違い中は大きなシャンデリアがきらめき、明るい
ことさら目を引くのは奥におかれた大きな置時計
それが示すにもうすぐエリオが呼ばれたパーティが始まる時間だ

「ご主人様がお待ちです
さあ早く早く♪」

クリアに急かされエリオが数歩中に入り、そして立ち止まる

「…?
どうしましたか?」

「あんたら、何もってんの?」

エリオが突き刺さりそうな視線をレンに送る

「…このワインですか?
これは今日のパーティの「ちげーよ、その袖の中のもん」

その言葉に執事とメイドが驚いた顔をする
エリオはシャンデリアの光をきらりと反射した『それ』を見逃さなかった

「…バレてしまいましたか」
「よく気づきましたねー」

二人が袖の中から『それ』を取り出す
小さいながらも鋭く光る、ナイフ

「で?
屋敷に入った途端ぶっすりってこと?」

「いえ、あなたには使いませんよ
主の大切な客人ですから」
「これは客人以外がこの屋敷に入らないようにするためのものなんですよ♪
人形たちが奪われては困りますから」

(…噂も完全なデマじゃねーのな)

しかし、ここにカルトがいる可能性がある以上買えるわけにはいかない
意を決してエリオが屋敷に上がる
それと同時にかわいらしいが少し片言の声が聞こえてきた

「ヨウコソ〜♪」
「不思議ノ館ヘ・・・」

かわいらしい洋服を着てエリオのそばに寄ってきたのは人間の子供…に見まがうほど精巧にできた人形だった

「…これが人形?」

「はい
少年がアキノ、少女がサツキといいます
兄弟なんですよ」

「意外といい仕事すんのな」

「お褒めの言葉どーも」

エリオのつぶやきに斜め上から声がかかる
見ると、階段の踊り場から三人がエリオを見下ろしていた

長い髪で顔が隠れているとはいえ、人形のようにかわいらしい少女、どこかぼんやりと手すりに頬杖をついている男、アルビノのエリオでさえ珍しいと感じる金色の目をした女
エリオの目がすうっと細くなる

「あんたが人形師か?
とりあえずカルト返せ、以上」

吐き出すようなエリオの言葉に女が吹き出す

「おいおい、焦りすぎだって
俺たちは君をパーティーに招待するつもりで呼んだのに」

「いらん
僕はカルトを迎えにきただけだし」

「まーまー
こうやってあんたがこの屋敷にきたのもなんかの縁なんだし」
「パーティー?」「パーティー!!」
「「「歓迎しよう」」」
「もう準備はできてるんだ」
「あがってこいよ」

人形たちがエリオの両腕をひき、屋敷の主人たちであろう二人が奥の部屋を指さす
その様子にいい加減我慢しきれなくなったエリオが口を開く
しかし、そこから声がでる前にずっと黙ってエリオをみていた少女が口を開く

「『探し物』は…『舞台』……が終わって………『明日』がくれば見つかる……」

「っ…」

「パーティー…も『舞台』の大切な…部品の一つ」
「で、どうする?」
「このままバッドエンドにしゃれこむか?」

「〜っ!!
くそっ
出ればいいんだろ!?パーティーに」

「そうこなくっちゃ!!」

ドカドカと荒々しく階段を上ってきたエリオをみてニヤリと笑い、奥の部屋へと消える

「Hurry、HurrY!!」

人形たちが楽しそうに口ずさみ、エリオの後を追いかける

「ワインをついで」
「どんちゃん どんちゃん♪」
「乾杯しましょう」

いつの間にかエリオより先に部屋にいた執事がワインを入れ、メイドがおいしそうな料理を並べる

「Are you readY??」

「準備はいいか?」

金色の目をきらめかせ、女主人がワイングラスを手に取る

「今日はあんたが主役のCrazynighTだ」

男主人が少女を抱き寄せながらグラスを持ち上げた

そして、屋敷に重いボーンボーンという音が響く
宴の始まりだ

「どうなるのかはあんた次第

さぁ、始めようぜ」





★あとがき★
いえーい
時雨さんとのコラボ!!
そしてコラボで初(?)のシリアス!!
書いてて楽しいっす
しかしこの人数の多さである(笑)
うーむ、自分ではわかるけど読者さんや時雨さんは誰がどのせりふ言ってるのかわかるのか?
主にティアとトート君(笑)
あ、もう一応出てきたから配役は発表していいのかな?
じゃ、書いていくと…
村娘…エリオ
少女人形…サツキ
少年人形…アキノ
メイド…クリア
執事…レン
奥方…ティア
主人…トート 
お嬢様…ホロ
ですねー
あ、あと題名のセプテットってのは七重唱って意味です
闇色ソロに合わせてみた(笑)

話は変わりますが実はこの後書き核の二回目なんですよー
一度目は後書きまでいったところで「よっしゃもうすぐ終わる!!」と思っていたところで走ってきた少年に正面衝突され、思わずケータイを落としちゃったんですよねー(笑)
そしてケータイ氏沈黙(笑)
保存してなかったので最初から書き直しですよー(笑)
いやーびっくりした(笑) 
ケータイの液晶がバッキバキよ
ま、歩きながら書いてた私が悪かったんですが(笑)
つーわけでこれ今パソコンでかちかち打ってます
パソコンやりにくい(笑)

はい!ほぼ無駄話でしたが以上です♪
時雨さん三話目お願いしまーす

では!!

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