03/16の日記

08:13
act 4 饒舌タナトス
---------------

ガチャリ、と音をたてて扉があく
閉じ込められているわけではなかったと少しほっとし、再び気を引き閉める
とりあえず、人形師を探す
そしてこのワケわからん状況を説明させてついでにカルトの居場所も聞く
パーティーにはもう出たんだ
あいつらの言う『舞台』も終わったってことだろ?

扉を開けるとそこには薄暗い廊下
パーティーの時には感じなかった冷気が体にまとわりつく
エリオはぶるりと体を震わせると部屋を出る

今自分が屋敷のどこにいるのかさっぱりわからないので適当に歩いていると一番最初に通された大広間にたどり着く
シャンデリアの明かりが落とされ、月の青白い光だけが光源であるその部屋は、さながら幽霊屋敷のようである
今や、人の気配すら感じることができない

「…〜っ
ちっ!!」

怖い、と微かに思ってしまった自分にイラつきながらもふもふした絨毯を踏みしめる

…と、そこでエリオがピクリと肩を震わせる
全神経を耳に集中させ、一瞬前に耳がとらえた異音を捉えようと息を殺す

―…タ……スケ…テ

「!?」

とても弱々しい声だったが、助けて、確かにそう聞こえた
一瞬カルトかと思い、焦ったが、違う
これはもっと、幼い声だ

…そして、僕はこの声の主を知っている
忘れるには、まだそれは新しい記憶で

ふと、村の酒場で聞いた噂を思い出す

『何でも、訪れる奴を「値踏み」して、気に 入った奴は自分たちの仲間にするんだとか。 そうして、死ぬまで踊らせつづけるんだと よ。』

「〜っくそっ!!
めんどくせーことになってんな…」

バリバリ白髪をかきむしり、吐き捨てる

「かると」

ぽそり、呟く

「かるとかるとかるとかるとかると」

なぁ、お前は大丈夫なのか?
カルトは僕から離れたりしないよな?
カルトがいなきゃ、僕は一人になる
一人でなんて…死ぬ方がましだよ

思わずうずくまりそうになる
いや、うずくまっていたかもしれない
クスクス笑う声が聞こえてこなければ

「ヤッホォー♪」
「コンナ夜更ケニドーシタノ?♪」

その場違いな陽気な声にエリオが顔をしかめる
そんな様子を見て姉弟人形が階段の手すりを滑り台にして降りてきた

エリオはそんな二人をにらみ、「カルトはどうした」と低い声で問いかける
人形は顔を見合わせ、クスクスと笑った

「ダメダメ」
「マダ、『舞台』ハ終ワッテナイヨ」
「ホラ、見テゴラン」
「夜ガ開ケテナーイ♪」

エリオの周りをくるくる躍りながら人形が歌うように答える

「『舞台』は終わっただろ
パーティーは出たんだ」

「チガウヨー」
「『舞台』ハココカラガ本番
君ノ行動デendハ変ワル♪」

ニヤリ、と人形が笑う

「秘密ヲ・・」
「教エテアゲヨウカ?」
「「時計ヲ 見テゴラン・・☆」」

「時計…?」

エリオが大広間にあった時計に近づく
別に、何も変わっていない
一瞬そう感じたが、しばらく眺め、気がつく

「動いてない…?」

「「正ー解♪」」

そういえば、あの少女が明日になるまで舞台は終わらないとか言っていた覚えもある

止まった時計
開けない夜

どうしたら、『舞台』は終わる…?

時計の周りをうろうろしながらエリオが考える
と、頭を使っていたからか、起きたときに感じた痛みが戻ってくる
思わず、フラッとして壁に手を置く
うん、そうだ
僕は確かに壁に手をおいたはず
何で今僕の手は何も触れていないんだ?

「「ア」」

人形たちのそんな声が聞こえたときには僕はもう突然開いた穴に吸い込まれていた














「い……ってぇ……」

思いっきり打ち付けた腰をさすりながら立ち上がる
振り替えると、少し上の方に四角く切り取られた大広間の天井が見える
要するに、僕は隠し扉を意図せずして見つけたわけだ
あははー、さすが僕
こんなのふつー見つけられないってー
あははーー………

よし、現実を見よう
僕は今隠し扉を偶然見つけ、その中に落ちた(比喩でも何でもなく)
そして、その先でなんか、箱みたいなのにぶち当たった
そして……今現在、僕は床に寝ているwith白骨
…うん、白骨
微かに肉片ついてるリアルなやつ
あ、ごめん腕おれちゃった
そーいやこの部屋血とか飛び散ってるし腐臭ぱねーし棺ばっかだし
もしかして僕、やらかした?

「「Jesus、 jesuS!!」」

人形たちが階段を降りてくる
その後ろから、他のやつらも降りてきた

「あーあー、荒らしてくれちゃって」
「見ちゃったんならしょーがねーな」
「Danger!! dangeR!!」

ため息混じりの主人たちの横で人形が楽しげに歌う

「怖がらないで?♪」

メイドがしゃがんでエリオと目線を会わせながらにっこりと笑う

「Where are you goinG??」

「どこに行くつもりですか?」

立ち上がったエリオをみて、執事が唇を歪めて笑う

パーティーの時とは明らかに違う空気に、エリオの白い肌から冷や汗が流れ、乾いた白骨に黒いシミを落とした


★あとがき★
あるぇ?
ギャグカットなはずなのに微かにギャグ入った気がしないでもない
うん、よし、気にしない☆

しかし自分が書いたとはいえエリオちゃんすげぇ
いきなり白骨とコンニチハしたら私なら叫ぶわ
ぷぎゃーよ(笑)
つーか、逃げ込んでないってゆーね
かんっぜんに事故ってゆーね
…うん、これはあれだ
時雨さんあとは任せた!!←

では!!

前へ|次へ

コメントを書く
日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ