03/25の日記

15:25
act 8 終演カタスタシス
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どくん、と心臓が血液を体に運ぶ
ねぇ、待ってよ
何をする気なの?
終わらせる?この、舞台を?
いやだ、やめて
壊さないで
やっと手に入れた幸せなの
もう一人にはなりたくないの
終わりたくない終わらせたくない
また昔に戻るなんてそんなバッドエンドいらない
ほら、あの子達だってそう
舞台が終われば一人になっちゃう
だからだからだからだから…


…ふと、叫び声が聞こえた気がした









「この『舞台』を終わらせてやる」

部屋に、凛とした声が響く
…『舞台』が…終わ、る…?
ぼんやりと、霧がかかっていたような頭をその言葉が揺さぶる
そして浮かび上がる、忌まわしい記憶

―こっちに来んなよ悪魔ども!!
―ママー、何であの子達殴られてるの?悪い子なの?
―あの子達はね、生まれてきたことが罪なの、仲良くしちゃダメよ
―お前らが生まれてからろくなことがねぇ!!
―ったく!!呪いのせいで殺すこともできねぇなんて!!
―ギャハハッ犬の餌でも食わせてもらえるだけましだと思いな
―さっさと死ねよゴミ屑がっ!!

死ねよ死ね死ね死ね死ねしねしねしねシネシネシネ…

「いっっやっだぁぁあぁああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっっっっ!!!!」

叫ぶ
喉がつぶれるくらいに
脳味噌が爆発するくらいに叫ぶ
床に座り込み、耳を塞ぐ
忘れていたかった
思い出したくなかった
やめて思い出させないで怖い、怖い…っ





「助けて…っ
ティア…っ!!」

「クリ…ア…?」

突然泣きながら叫びだしたクリアに、8対の目が向けられる
そのひどく頼りない声は彼女の主であるはずの者の名を呼んだ

ティアはいぶかしげな顔をしたが、すぐにはっとしてクリアを抱き締める

「大丈夫、ここにいるから…っ」

「ティア…っ
やだよぉっ…終わりたくない、帰りたくない…っ」

顔をぐずぐずにして泣くクリアの背をなで、自分を睨み付けるティアはまるで子を守る親猫のようだと感じながらカルトがティアに問いかける

「目が覚めたか?」

「けっお陰さんでな
…つーか、これがお前の策か?」

「ああ、『舞台』には『役者』が必要だからな
悪いが、終わりにさせてもらう

…お前らも薬切れかかってるんじゃないのか?」

「…鋭いんだな
あんたは寝てたから知らねーだろうけどさっき鳴った鐘
あれが薬の切れる大体の目安だって教えられた
ったく、いつもならもっと早く終わってたのによー
なぁホロ」

「…暴れる……の…反則………」

あーあ、とため息をつくトートの言葉にホロがぼそりと付け足す
「暴れなきゃ捕まってただろ」と呟くエリオを押さえカルトがまたひとつ、詞を投げつける

「目が覚めたんならわかるだろう
ここはお前たちの家じゃない
『舞台』は終わった
さぁ、帰ろうか」

「……どこに…?」

ティアに抱き締められていたクリアが呟く
そしてその涙に濡れた顔を歪ませてカルトを見た

「帰る場所なんかない
どうせ帰ったって誰も喜んでくれない!!
今度こそ、本当に殺されるかもしれない!!
それならずっとここにいる方がいい!!」

「…俺もだな
あの村に帰るなんて死にに行くようなもんだ」

「…『悪魔の使い』ってか」

クリアとティアの言葉にカルトがため息をつく
そのカルトをエリオが不思議そうに見た

「カルト?どういうこと?」

「こいつらに追いかけ回されてるときに入った部屋で日記を見つけてな
それにこいつらのことが書いてあった
二体だけ残った姉弟人形
偶然この屋敷に迷い込んだ兄妹
双子が迫害される村で生まれた双子
流行病で家族をすべて失った青年…
そして、俺とお前のことが」

「カルトと僕も…?
…っ
それが『登場人物』ってことか」

「流石、飲み込みが早くて助かるぜ」

「で?あんたはどうするつもりなんだ?
俺たちはまぁ、流れでここにいるようなもんだが他のやつはみんな帰りたくないそうだぜ?
お前もそうだろ?レン」

トートの言葉にレンが少し考え、頷く

「…はい
子供っぽいと言われるかもしれませんが、一人になるのは嫌なので…
それに、村のただでさえ少ない食料の取り分が減ってしまうと思うので帰りたくないですね」

「だとよ
残念、
お前の望んだエンディングは迎えらんねぇな?」

「そうか?
俺は別にそれぞれが住んでた村に帰ろうといった訳じゃないんだが?」

「…?
どういうことだ?」

「もといた場所に帰りたくない、一人になりたくない
なら簡単だ」

カルトがにっと唇をつり上げエリオを抱き寄せる

「帰ればいい
俺とエリオがすんでいる村に、みんなで」








「はぁあっ!?」

アホみたいな声をだし、隣にいるカルトをガン見
他のやつもみんな驚いた顔をしてカルトを見る

カルトはカルトでどや顔(そこまでうざくないレベル)をしてるし

つーか、え、うそ
僕らの村にこいつらが来るの?

「だってそうだろ?
みんなで一緒に住めば一人になんねーし
双子がどうとか言うやついないし」

「や、狭…」

「ま、狭いけど頑張れば入るだろ」

「いや無理だって!!」

ただでさえボロ屋なのに床が抜けたらどうすんすかカルトさん

「人数はいるんだ、修理すればいい」

「男手少ないけど!?
カルトはいいとしてあのめんどくさがりっぽいのとひょろいのと人形だぞ!?」

「そーだな、修理めんどい」

「ひょ…っ!?
ぼ、僕だって筋肉くらいあります!!」

「アキノハ私ト応援シテヨウカ♪」

「ガンバレガンバレ♪」

「…ぷっ
はははっ」

こらえきれなくなったかのようにティアが吹き出す

「なぁ、クリア
あいつらなら信頼できんじゃねーか?」

「…うん
僕も、そう思う」

顔を会わせ、にっこりとそっくりな笑顔を溢す双子
はしゃぎながらレンの両腕にぶら下がった姉弟人形
我関せずという顔であくびをしながらもホロとずっと手をつないでいるトート

あーもう、めんどくせぇ
家が賑やかになる

思わず綻んでしまった顔を隠すようにカルトに寄りかかる
あーもう、このまま寝たい
でもカルトもふらふらだから僕が肩を貸さなきゃな
先程までの緊張感なんてもう何年も前の事のようだ

「つーか何人いるんだこれ
ひぃふぅ…9人か?」

多いな…と呟いたカルトの前に姉弟人形が飛び出す

「ダメダメー」
「アト一人、数エ忘レテルヨ♪」

きゃいきゃい笑う二人にカルトは首をかしげたが、すぐにその意味を理解し、二人の頭を撫でた

「そうだな
…ハッピーエンドにはあと一人必要だったな」






★あとがき★
最初のシリアスっぽさが最後には霧散していると言うこの感じ
つーか姉弟人形の出番があまりなかったなぁ…
おそらく次で終わりですね、この曲は
次は悪ノシリーズですね
すごい楽しみ←他人事(笑)

余談をすこし…
この間ケータイ死亡しましたが、そのときにメールをSPメールからドコモメールにしたんですよね
で、困ったことにドコモメールではフォレストに画像が送れない(笑)
よって「描いてみた」の更新は限りなく少なくなる気がしますね(泣)
ま、見てくれている方がいたのかどうかはなぞですが…(笑)

では最後、時雨さんお願いしまーす!!
では!!

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