short story

□僕たちの至福
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私は来る日も来る日も、毎日カレンダーを黒く塗りつぶす
塗りつぶす事、1か月

生きているだけで、素晴らしい
なのに、さらに困難に立ち向かい頑張ってる君は、素晴らしい

だから、精一杯の笑顔で君を迎えるんだ
カレンダーも、今日は塗りつぶさない




『こちらボルテール、イザーク・ジュール隊 入港許可を』

"こちら本部、ボルテールの入港を許可します。お疲れ様でした。ジュール隊長は、帰投次第、議会への出頭命令が出ていますので、よろしくお願いします。"

『イザーク・ジュール、了解した』


隊の誰一人欠ける事なく、無事帰還出来た安堵と、モニターに映し出されたオペレーターの笑顔が、疲れた心に染み渡る

入港が完了し、一歩足を踏み出すと、まだ施設内だと言うのに、重い重圧が消えて行く気がした


『お疲れ様です、ジュール隊長』


ファイルを片手に敬礼する姫君の姿に、目を見開く


『お前…』

『お疲れ様です。議会にはこちらのファイルをお持ちください。』


先程までオペレータールームにいたはずの彼女。近いとは言えないのに、出迎えてくれた事にイザークの心はときめいた。


『あ…あぁ、わかった。わざわざ、すまない。』


互いに公私を分けているが故、抱きしめあったり、甘い言葉を交わしたりしなかったが、見つめ合う瞳は喜びに満ちていた。

差し出されたファイルを受け取る時、微かに指先が触れた。


『お帰り、イザーク』


小さな小さな声でそっと囁かれた言葉は、これ以上ない幸せをイザークにもたらした。


『あぁ、ただいま』


そっと姫君の頭を引き寄せ、額にキスを落とす


『イ、イザーク?!』

『今日は特別だ。ありがとう、姫君。愛している』





この言葉を聴きたくて

この言葉を言いたくて

君と笑顔をかわすため

僕たちは、命をかける

守るために

生きるために

未来を紡ぐために

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