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お礼文(高律1種)


「あの……そんな穴が開くほど見られると恥ずかしいんですけど…」

「ああ悪い。目が冷めて律が目の前にいる幸せ噛み締めてた。やっぱり同棲っていいよな…こうやってすぐ抱きしめられる距離に居るし」

「っ、もう! 朝から何言ってるんですか!」

まだ高野さんと同棲を初めて2日しか経ってないのに大袈裟だと思う。確かにこうしてすぐ触れ合える距離に居られるのは心地良い。いや、でも…俺がずっと素直に高野さんを好きだと認められないせいで不安にさせていたのだとしたら、こんなささやかなことも嬉しく感じるのかもしれない。

「じゃあ俺もお返ししますね?」
「え? ちょっ!?」
俺はソファーに座っている高野さんの膝の上に跨り、そのまま抱きついた。
「ちょっと待て。これ、なんか凄くヤバいんだけど」

「嫌ですか?」
「まさか。嬉しいけど心臓バクバクしてるわ」
「ふふっ、同じですね」
「だな。すげードキドキする」
そう言いながら高野さんは俺の腰に手を回してきた。密着度が増して更に鼓動が激しくなる。
「律」
「はい」
「キスしたい」
「……少しだけ、ですよ」
高野さんが少しだけのキスで済むはずないのは分かっている。というか、俺から高野さんにキスしたいなんて言えるはずなくて
いつも言わせて貰っている。
だけど今日は珍しく、自分からしたいと言ってみた。
すると高野さんは一瞬驚いた顔をしたけれどすぐに目を細めた。
「可愛いことしてくれるじゃん」
「たまには……その、俺だってこういうことしてみたいです……」
高野さんとのキスが嫌なわけじゃない。むしろ気持ち良すぎて困るくらいで。ただ、そんな事を素直に言ってしまえば抱き潰されてしまうのは目に見えているから言えないけれど。
そして案の定、高野さんはニヤリと口角を上げた。
「もっとして欲しいんだろ?」
「違います! 今のはそういう意味じゃありません!」
「はいはい。ほら、早くしないと遅刻するぞ」
「誰のせいですか!そんなこと言うならもう言いませんから!いじわる!」

結局、昨夜と同じパターンになってしまった。悔しい。高野さんばかり余裕そうな顔していてズルいと思う。
「律、おいで」
「……はい」
手招きされ、大人しく高野さんの方に寄ると腕を引っ張られてそのまま抱きしめられた。高野さんの体温に包まれると心が落ち着く気がする。この人に愛されていることが当たり前になった今だからこそ分かることなんだけれど。
「そろそろ支度するか」
「はい。あ、朝食の準備とか出来てるんで良かったら食べてください」
「マジ?律が作ったのか?」
「そりゃ、高野さんばかりに作ってもらうのは何か申し訳ないというか…一緒に棲むなら美味しいもの食べてもらいたいですし…まだ練習中ですけど」
料理に関しては実家暮らしだった頃から母親に任せっきりだったので上手く作れる自信はない。それでも一生懸命作ったつもりだ。
「お前が作るもんなら何でも食うよ。ありがとうな」
「いえ……。あ、あと味噌汁温め直すので座っていてください」
「おう。あ、俺も手伝ってやるよ」
「大丈夫です。ゆっくりしてて下さい」
高野さんに手伝わせないように慌ててキッチンへ向かおうとすると後ろから声をかけられた。
「律、好き」
「……知ってます」
不意打ちの言葉に思わずドキッとしたことは絶対に悟られないようにしよう。






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